第12章 学生編・初秋のImpromptu
「三線は俺の爺さんから借りて、お筝は姫さんが持ってるでしょ?尺八は…和音さんなら買うなりなんなり出来るっしょ」
確かに…姫はお筝持ってるけど…多分実家にあるだろうから実家まで取りに行くのが大変…ってゆーか実家に取りに帰れるかがまず問題なんだと思うけど。
『まぁ…一応聞いてみる、けど…姫、何て言うかなぁ…』
ここで聞きに行くのは時間のロスになるから取り敢えずはメールを送る事にする。
※※※
-ピロン-
『あ、すみません。ちょっと失礼します』
と携帯の通知音に誘われるままに携帯を確認するマネージャーさんの眉間に深い皺が刻まれ、そして眉間を抑えながら深い溜息を吐く。
「だ、大丈夫ですか?」
『あ、御免なさい。ちょっと面倒な事になりそうで…』
一同「面倒な事?」
『池ちゃん』
ん、と池上さんに携帯を渡すマネージャーさんは眉間の皺を伸ばす様にグリグリと眉間をマッサージする。そして携帯を手渡された池上さんは、そのとても綺麗な顔を引き攣らせマネージャーさんと同じ様に深い溜息を吐いた。
「これ、リーダー案?」
『多分』
「流石ね…いい案なんだけど…正直難易度が高いわ」
「どうかされたんですか?」
生徒会長がそう聞くと、お二人は顔を見合わせてから口を開く。
「蓮巳の坊やのユニット…紅月だったかしら?」
「…?はい」
『雰囲気や曲調的に和楽器を組み込みたいと紫音が言ってるらしいんですけど…』
「へぇ!それは凄く有難い申し出じゃないか」
「えぇ。こちらとしては合うので是非ともその申し出を受けたいのですが…」
多分何か問題があるのだろうと、生徒会長も蓮巳先輩もお二人の様子を伺うように見る。
「どうする姫様。あまりあれこれやり過ぎると時間も無いしキャパオーバーよ。かと言って悩んでる時間も無いけど」
『紫音はやるなら徹底的にタイプだからね…リーダーだしその意志を尊重してあげたいけど…色々と間に合うかどうか…』
「何か僕達に協力出来る事が有れば遠慮無く言ってもらえれば。依頼したのは此方なので最善は尽くさせて頂きます」
『正直、問題と言う問題は無いんですよ』
一同「!」
『時間さえあれば、ね…』