第12章 学生編・初秋のImpromptu
決め倦ねて考え込むマネージャーさんを見て池上さんは少し嬉しそうに微笑む。
「ねえ、どうしてワタシが貴女の側に居ると思ってる?」
『は?』
「ホント一人で何とかしようとするの、良くない癖よ」
『はぁ?』
マネージャーさんの綺麗なお顔が不機嫌そうに歪む。
「ワタシを使って。姫様が望めばワタシはいくらでも権力とお金を振り翳すわ」
『………』
「有難う、お金にならないのにワタシの母校や後輩達の為に一生懸命考えてくれて。貴女が間に合わないと感じてる事、全部ワタシが間に合わせてみせるわ。だから姫様が最善だと思う事を命じて」
『………はぁ。分かった、宜しくお願い致します』
苦くして漸く開いた口から出た、たったその一言で池上さんは家の使用人を呼んでテキパキと指示を出す。
「僕達も何か手伝える事があれば…」
『心配には及びません。此方で何とかなりますので』
「そうですか…感謝します」
『いえ。他ならぬ池上様の頼みですので』
このNoGenderと言うグループはきっとマネージャーさんを中心に動いているんだろう。普通マネージャーと言う立場は尽くす側の仕事だと思うんだけど…いや、ちゃんと尽くしてるけど尽くされてもいる。
『では、後はリハと当日で。それまでには完璧に仕上げさせておきますので』
「当日は…確かマネ…桜音さんはいらっしゃらないんですよね?」
『えぇ…申し訳有りませんがリハ時も。当日は模試リハの時は大学生との部活の親善試合が御座いますので外せません』
※※※
「ねぇねぇ、会長と副会長はNoGenderのライブ見て凄いって言ってたけど、どこら辺が凄かったの?」
ただ何となく。会長がNoGenderのマネージャーと会議するって言ってたから暇だし興味があったから付いて来たものの…正直あのおっぱいおばけ…じゃなくてマネージャーを見ただけじゃNoGenderがどんな人達かは分からない。まぁメンバーの仲は良さそうだけど。
「うーん…口で説明するのは難しいな…」
「姫宮も彼等の演奏を聴けば分かる」
「えー!それじゃあ説明になってませんってばー」
後で動画、ちゃんと見て予習しとくか。
→To Be Continued.