第12章 学生編・初秋のImpromptu
視界に入れる事無く気配だけで察知して無言無表情で裏拳。この行動には流石の僕達も吃驚で言葉を失う。この前の会議の時はとても言葉遣いが丁寧で礼儀が正しい子…いや、それは変わらないんだけど暴力的な部分があったなんて………池上先輩は喜んでるみたいだけど。
「っ痛~…姫様本当に御免なさい。ちゃんと伝えてなかった事謝るから許してぇ…」
『………で、お話とは?リハの事ですか?』
「はい、ガン無視いただきましたぁ!」
「えっ…と…その事もあるんですが、少し提案…と言うよりお願いみたいなものがありまして」
『お願い?』
こてん、と首を傾げる。
※※※
現在、池上家の応接室に居るのはNoGenderからアタシと池ちゃん。そして夢ノ咲学院からFineの天祥院さん、姫宮君。紅月から蓮巳さん。学院で革命を成し遂げたと言うTrickstarの氷鷹君。そして唯一のプロデューサーの女の子。
提案は体育祭後に行われるライブについて…各ユニットの曲を生演奏してはもらえないか、と言う事だった。
「先日、NoGenderのライブを見させていただいて大変感動しました。体育祭まで残り一週間ですし差し出がましい申し出かと思いますが何卒引き受けてはいただけませんか?」
「僕はライブ見てないけど…皆が、英智様が素晴らしかったって言ってたから本当に凄いんだろうなって思うよ!」
『………』
ライブ自体は体育祭が終わった後、各々準備してからの18時から。参加するユニットは11組で流石に体育祭後の演目だから一曲丸々は歌わないと見る。つまり各ユニットのパフォーマンス時間は曲の一番とラスサビくらいか。
『これ、一曲丸々歌います?』
「いいえ。半分くらいで流れ良くメドレー式にしようと考えてますね」
『成程…因みに今、音源とか持っていらっしゃいますか?』
「あ、はい!一応ここに!」
とプロデューサーの女の子から渡されたCDを受け取る。
『みい、そこに居るんでしょ?ちょっと手ぇ貸して』
※※※
『ちぇーっ!バレてたかー』
一同「!?」
上から声がしたかと思うと、ガコッと天井の一部が外れてそこから女の子が顔を覗かせる。確かNoGenderのプロデューサー…と言っていたか。
『降りて来て』
『はぁい』