第11章 学生編・初秋のCode
いや…"この子"や"嬢ちゃん"呼ばわりするのは失礼に値する。
「智桜姫………ちゃん、は何故マネージャーになろうと思ったんじゃ?」
『成り行き、ですかね。って言うより…』
「?」
笑いを堪えるように口元とお腹を抑えてクスクスと笑う。
『無理してちゃん付けしなくても…』
「女性に対して、いきなり呼び捨ても失礼じゃろうて」
『まぁ…そうですね。池ちゃ…池上様も出会った当初はいきなり呼び捨てで迷い無く顔面殴ってしまったのもいい思い出ですし』
呼び捨てにしなくて良かった…と言うより今でも殴ってるだろう、と言うツッコミをしそうになったが余計な事は言わぬが仏、と言う事で口を噤む。
※※※
-ずこーっ-
と品無く紙パックのジュースを啜りながら携帯を弄る下宮は少し不機嫌そうにしていた。
『姫からメールの返事が来ない。既読も付かない』
"昼休みに送ったからもう四時間は経過してるんだけど"と紙パックがベコベコに凹むまで吸い込む。
「あんまり催促すんなよー。姫さん俺達みたいな馬鹿と違って勉強忙しいんだからさ」
『そんなのは知ってる』
べーっと舌を出す姿が無性に腹が立つ。世間一般的には多分このヤンヘラクソ女も可愛い部類だけど全っ然可愛くない。何を連絡したのかは知らないけどコイツは姫さん対してのヤンヘラが半端ない。姫さんも良くこんな面倒な女と親友やってるよなーって常々思う。
「そいやぁ来週の土日はちゃんと開けといてよ。リハと本番あるから」
『既にちゃんとシフト調整してますぅ』
「なら良いけどさ。今週の土曜日の昼からリハについての話し合いとかを和音さん家で夢ノ咲の代表も来て話し合うらしいし」
『土曜日の昼?』
と下宮が怪訝な顔をする。
「何だよ。お前はマネージャーじゃないから関係無いだろ」
って言っても姫さんが来るなら来るだろうけど。
『………(あれ…今週の土曜日って何か予定無かったっけ?あのオカマ、ちゃんと姫に日程の確認したのかな?)』
「つーかお前こんなとこで油売ってていいのかよ。バイトは?」
『あ!やば!忘れてた!!!』
「今日どっち?」