第10章 学生編・初秋のIntroduction
「いーじゃん別に。膝枕してくれる仲なんだし」
「しかしじゃな…」
『構いませんよ』
-なでなで-
「「!?」」
『甘え上手は弟妹の特権ですから。存分に生かせば良いと思います』
何この子。歳下だと思ってたけど凄くお姉さんじゃん。寧ろお姉さん通り越して母性すら感じる。池上先輩の事はあんなに殴ってたのに。
「そう言えば君、いくつ?」
『17歳。高校三年生です』
お、な、い、ど、し!
「………まぁいいや。もっかい寝るから膝貸して」
『御免なさい。それは無理です。そろそろ帰らねばなりませんので』
そう言って立ち上がるとノートを閉じて鞄に片付けて積み重なった分厚い本の一山を抱える。この子も力持ちだな…あ、手伝わなきゃ。膝貸してもらったお礼はしなきゃ。
※※※
本の山を片付けた後、携帯は置きっ放しにして鞄だけ持って何処かに行ったマネージャーを待っていたら凛月が冷めた目付きで此方を見ながら話しかけて来る。
「帰らないの?」
「陽も落ちはじめておるしのぅ…女人を一人で帰らせるのは危険であろう?」
「魔物もどきにもそんな紳士的な考えあったんだ」
「凛月かて同じじゃろう」
「俺は一応騎士だからね~」
『あれ?お二人共まだいらしたんですか?』
「「!………!?」」
声が聞こえた方を向けば際どい制服姿より更にアダルトなボディスーツを着てライダースジャケットを羽織る彼女がいた。胸元も大胆に開けてるし痴女なのか。この子は痴女なのか。おじいちゃんにはまことに目の毒である。
「あ、いや…ってゆーかその格好…」
『あぁ…私(わたくし)、基本は単車で行動してるので。でも学校からすると退学並の校則違反なので単車に乗る時はライダースーツじゃないといけませんので』
じゃああのやんちゃな単車の乗り主はこの嬢ちゃんだったのか。本当に人は見掛けに寄らない。
※※※
『あ、姫!待ってたよ~!』
図書館を出て駐輪場に行けば単車に軽く体重を預けながら携帯を弄っていたみいが此方に気付いて小さく手を振る。
『ってあれ?その人達の制服…夢ノ咲学院の…』
『昨日のNoGenderのライブに来て下さってた人達』
『ふーん…』