第10章 学生編・初秋のIntroduction
ちらりと二人を見ると特に興味は無いのかアタシの腕に抱き付く。
「誰?このちんちくりん」
「NoGenderのプロデューサーじゃよ」
「こんなちんちくりんが?」
『あれ?私、悪口言われてる?君達こそ大丈夫?チビったりしなかった?』
「はあ?」
あ、これはマズい。喧嘩になる前に止めなきゃ。
『それよりどうして此処に?ミーティングは終わったの?』
『アイネがこってり絞っといたから安心して。私が此処に来たのはテストで根詰めてるだろうと思ってデートのお誘い』
敢えて"藍音"と言う言葉を発した意図を汲み取って鞄から鍵を取り出して鍵穴に刺し込む。
『詳しくは後で聞く。何処行きたい?』
『海』
『おっけ』
『あ、私運転しよっか?』
いや、これゴトちゃんのお下がりだから背の小さいみいには足が届かないでしょうが。
※※※
まるで我輩達の存在を忘れてるかの如く二人の空気を作ると単車に跨ったマネージャー殿が思い出した様に声を上げる。
『あ、朔間さん』
「「?」」
『あーと………零さん?の方』
「!」
名前を呼ばれた。何だこの底知れぬ破壊力は。
『勉強教えてくれて有難う御座いました』
「構わん。続きはまた明日じゃな」
『「!?」』
『はい、宜しくお願い致します』
『「えっ!?はっ!?」』
『えーと…凛月君、でしたっけ?』
「!?」
今度は凛月が名前を呼ばれる。
『次からは死にかける前に安全な場所に行って下さい』
「…はぁい」
『では私(わたくし)達はこれにて失礼させていただきます』
そう言うとプロデューサーはマネージャーにしがみつき、マネージャーはヘルメットを被ると数回ふかした後にアクセルを回して、それなりの騒音を立てながら去って行く。
「何かあの子…マネ………姫ちゃん?不思議な子だよねぇ」
「………」
「正直ショッピングモールで初めて会った時はあまり印象良くなかったんだけど 」
まぁ我輩達の事はガン無視だし池上先輩には暴力的だし。
「意外と世話焼きさんなのかな」
まぁそれは多分…"子供"に対してじゃろうけど。
→To Be Continued.