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引金の旋律【あんスタ】

第9章 学生編・終夏のMute


「「「ひっ…」」」

『掟、忘れないでよ。アカネが倒れたらウチ等やっていけないんだから』

「「「はい……」」」



肩を落として返事をする三人を(多分)一瞥して担いだままステージ裏に姿を消す。





※※※





朱音を担いで裏口から出る藍音をモニター越しに確認する。あの裏口は基本的にNoGenderと関係者(マネージャー)しか使用しておらずスタッフですら使用禁止で、あの裏口が一体何処に繋がってるのかは誰も分からない。



「珍しく朱音さん歌ってはったけど一際体調悪そうや…大丈夫やろか?」



朱音がライブで歌うのは珍しい。動画では全然歌ってはいるがライブでは滅多に歌わない、と言うより歌わなくなったのがここ数ヶ月の話。そしてこの数ヶ月、朱音はいつも体調が悪そうだった。
マネージャーである桜音に聞いてもメンバーである池上先輩や椎名に聞いても何も答えないのはいつもの事。



「多分、僕達が介入して良い事では無いのだよ」

「それは分かってますけど…一ファンとしては心配や…」



僕達もこう見えてNoGenderのファンの一人。じゃないとこんなモニタールームにまで邪魔して観客にならない。



「僕達もそろそろ帰る準備をしよう。連中が退いたら僕達も帰る。いつまでも長居するのは良くない」

「はい、お師さん」



トークもパフォーマンスも客一人一人をちゃんと見て楽しませて、演奏や歌や音に関しては一音一音を大切にしてるのがよく分かる。そんな彼等はもっと大きいステージで演奏してもいいと思うのだが彼等はそれを望まない。僕には理解し兼ねる。





※※※





「やべーよ怖ぇよ、あのヤンヘラクソ女、結構ガチ切れじゃ無かったか?」

「煩い、お黙り!明日のミーティングは仕事長引かせて遅れようかしら…」

「無駄な足掻きだよ…アレだけアカネさんに心労かけたらアイネがキレるって分かってる事じゃん」



ベースとキーボードの二人が去った後、残された三人は密集する様に輪になって顔を恐怖の色で染め上げながら、ヒソヒソと会話をする。このバンドのリーダーは多分彼、紫音だったハズだけど何となく朱音を中心としている様に見える。



「池上先輩」

「あ!あぁ…御免なさい…エントランスのエレベーターまで送るわ」
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