第8章 学生編・終夏のNoGender
「どっちがどっちのパートやるか楽しみにしといてねー」
「「「はぁーい!」」」
「よっしゃ、じゃ行くぜ野郎共」
-わあぁぁぁあ-
「全員最後までハイテンションで着いて来いよ!」
「「「いえぇぇえい!!!」」」
※※※
-ドッドッドッ-
未だに心臓が煩い。手汗も乾かない。
ライブが終わってアンコールは無く、すぐに幕が下りスタッフの指示に従って下の観客がパラパラと帰り出した頃。
「はぁい♪どうだった?ワタシ達のライブ」
一同「空音…!?」
「しー!まだ下のお客さん帰ってないから」
何処からともなく現れた池上先輩は、そう言いながらバーカウンターに入る。
「皆が完全撤収した後じゃないと貴方達も出られないし何か飲む?喉乾いたんじゃない?」
と目線で机を指すと空になったグラスや氷が溶けて層になった皆のグラスが並ぶ。大層寛げる席なのに皆して魅入ってた事がよく分かる。
「俺しゅわしゅわのノンアルコールカクテル」
「「甘いやつー」」
「烏龍茶」
「僕は紅茶がいいな」
「アイスコーヒー」
「我輩はトマトジュースを頂こうかのぅ」
「………貴方達見事にバラバラね」
「僕も手伝うよ」
一同「紫音…!?」
これまた何処からともなく現れるのはNoGenderメインボーカルの紫音。
「やぁ皆。さっきぶりだね」
「あら、紫音が手伝ってくれるなんて珍しい」
「アカネさんしんどそうだし代わりにね」
さっきもトーク中に体調を気遣う面が見えたがベースの人は体調でも悪いのだろうか。
※※※
「え!?僕達の関係性?」
うーん、と首を捻る。ダメ元で聞いてみたが答えてくれる気はある様で言葉を選ぶ様に考え込む。
「まぁ公認なのはアカネさんとアイネがカップル?」
「そうね、多分カップル?」
その多分に少し引っ掛かりを覚えたが深入りせぬが賢明、と考え突っ込む事はしない様にする。
「誰も知らないけど知られても問題無い事で言うと僕はクオンがオーナーのこの箱のスタッフって事くらいかな?」
一同「ええっ!?」
「後は僕とレントは同中同高の腐れ縁とか」
一同「ええっ!?」
「そのくらい?」
「そうね、そのくらい………と、そろそろ大丈夫そうね」