第8章 学生編・終夏のNoGender
スタッフから連絡が来たのか携帯を確認すると立ち上がる。
「まだ19時半だけど、この辺はあまり治安良くないから気を付けてね」
と話しながら下の客席に降りたときだった。
-ガッシャーン-
一同「!?!?!?」
「わ、わわ!たんまたんま!冗談!冗談だって!!!」
と完全に下りきった幕の隙間から転がる様に飛び出して来たのはドラムの黄音で、そのすぐ後に幕を潜って姿を覗かせるのは見るからに機嫌が悪そうなベースの朱音だった。
※※※
これはとてもまずい。姫様が相当ご立腹。一体何を仕出かしてくれたんだ、この脳筋ゴリラめ。
「アンタ一体何したの」
「いや…疲れてっから肩もみしてやったんだが肩凝りの原因をちょっとアドバイスしただけで…」
一同「アドバイス?」
「その肩凝りの原因はおっ…」
-ガッ-
一同「!?」
黄音が何かを言いかけたところで朱音様が華麗な飛び蹴りをかまそうとするが生憎、黄音もゴリゴリの肉体派だから受け止める。多分これ、喰らっとけば一件落着なのに。
「この身のこなし…強いな」
「「あー…この二人ゴリッゴリの肉体派だから」」
だから、か弱いワタシ達がこの二人を止められる訳が無い。ただ藍音が止めれば朱音様は止まるし…藍音は一体何をしてるんだ。まぁ正直言うと黄音が朱音様に一発でも殴られとけば丸く納まるんだけども。
「アンタ殴られときなさいよ」
「っざけんな!今のアカネサンに殴られたら病院送りだろーがよ!?」
「アンタが悪いもの。それに黄音じゃ病院送りにはならないから安心なさいな」
「てめっ…ふざけんじゃねぇ!いつも殴られてはいるけど本気で殴られた事が無い奴が簡単に言ってんじゃねぇ!」
だってワタシはそこら辺ちゃんと考えてるもの。
「マネージャー殿にもしばかれておったのにメンバーにまでしばかれておるのか?」
「まぁね」
そこでずっと黙って二人の殴り合い?を見てた鬼龍の坊やが口を開く。
「…もしかして」
一同「?」
「黄音って五斗 清明さん?」
ぴたりと二人の動きが止まる。
「あ、もしかして鬼龍の小僧か?」
朱音様の機嫌の悪さが増した。
→To Be Continued.