第8章 学生編・終夏のNoGender
お腹を見せようと服を捲ろうとするボーカルにベースが飛び膝蹴りをお見舞する。
「いった!?痛いよアカネさん!?僕どっかの誰かと違ってか弱いんだけど!?」
『てめぇ嫌味かこの野郎』
「違う!真剣な悩み!だったらアカネさんのマイブームは何なのさ!」
『俺?俺のマイブームはメンバーの奇行をSNSにアップする事』
「「「「えっ」」」」
『嘘だって気付けよ。メンバー誰もSNSやってねぇだろ』
ふむ。このベースは相当賢いんだろう。会話の回し具合が上手い。
『ま、世話の焼ける此奴等の世話すんのがマイブームかな』
「「「アカネぱぱん…」」」
『こらー俺はまだ孕ませた事はねぇぞ』
「っとにアカネさんは話が上手いよねぇ…まぁここいらでいつものゲーム、行きますか」
とボーカルが舞台裏に一瞬だけ姿を消し、そして直ぐにルーレットを持って戻って来た。
「皆会場入りする時に紙を引いたと思うんだけど…その紙に数字が書いてあるよね?」
「「「あるー!」」」
「じゃあ今からルーレットを回して、その当たった数字の人に質問権をあげる。僕達個人宛でも良いしグループ全員宛でもOK。ただ答えられない事もあるからそこは勘弁ねー」
※※※
-ガラガラガラ-
「えーと…質問券を得た第一号は53番の人!」
「はい!」
一番手は若い女性。
『俺達に何が聞きたい?』
「えと…皆さんの好きなパスタが知りたいです!」
「パスタ系か…俺はカルボナーラだな」
「パスタはあんま食わねぇけど醤油とバターのやつ」
口々にそういう中、空音は必死にホワイトボードにペンを滑らせる。
「クオンはジェノベーゼか…洒落てんな」
『ウチはたらこスパゲティかなぁ』
『俺はペスカトーレだな』
「ぺすか…やっぱ育ちの良い奴は違うなー…お洒落な名前ばかり使ってきやがる」
そう愚痴を零しながら二回目のルーレットを回すと今度は104番。如何にもな男性。
「ぼっ、ぼぼぼぼっ僕、アイネちゃんのファンなんですけど」
『………っ』
前髪で顔は隠れてるから表情は見えないけど恐らく物凄い顔をしている。警戒する様にアカネさんの後ろに隠れながら頭だけ覗かせる。
「アカネ様以外に好きな男性『いない』あ…」
『アカネ以外有り得ない。無理』