第6章 学生編・終夏のSonority
つまりやっぱり和音さんが無駄に構い倒して姫さんの機嫌を損ねたのだろう。本当にあの人も懲りない…ってゆーか寧ろ悦んでるしなぁ。
「皆ぁ!お待たせぇ!」
「…ほらね」
続いて入って来た和音さんの顔は清々しい。
「ライブのセトリは決まった?」
「とっくに。後は今回のゲームは何にするか、かな」
俺達のライブが盛り上がる要因は演奏だけじゃない。トークでも観客を盛り上げるし観客を巻き込んだゲームをする。観客との距離が近いのがポイント。
「前回は確かイントロどんだったわね」
「前々回はシオンアカネで芸能人の声真似大会」
「その前が確かMV作製現場の一部をスクリーンに流す」
『それより前が…えと…『紫音藍音黄音で漫才』あれは恥ずかしかった…』
『声真似大会も恥ずかしかった』
皆で確認をしながら各々の楽器の前にスタンバイをする。
「思い出してみるとクオンって何もしてなくね?」
「仕方無いじゃない…ワタシは二人みたいに男声と女声を使い分けたりなんて出来ないし男声しか出せないわ。コーラスとは違うから喋ったら性別がバレちゃう」
まぁ確かに。和音さんは本当に顔だけはめちゃくちゃ綺麗だから正直、化粧してしまえば本当にどっちか分からない。
『取り敢えず前半だけ通してまた明日にしよ。この後、アタシとしーちゃんと池ちゃんは箱行かなきゃいけないしみいもバイト。ゴトーは夜勤でしょ』
『「「「はーい」」」』
※※※
『ふ、ぁ…』
と欠伸を噛み殺しながらライブ後の箱の掃除をする桜音は今にも目が閉じそう。ここ最近、顔に疲れの色が見えていたが今日は一段と酷い。
「姫様。後はワタシ達がやるから休んでて。帰りは家まで送るから」
『いい。ちゃんとやる』
大体いつも。NoGenderがライブをする前は彼女は疲れきっている。まぁマネージャー的役割を担ってるみたいだからそれなりに忙しいだろし、ここでのアルバイトに加え通ってる学校が学校だから勉学も忙しいのだろうと思う。
「貸したまえ。たまには僕達も手伝ってあげない事も無い…影片」
「はい、お師さん!」
「あら珍しいわね、宗」
「ノン!僕にだってボランティア精神くらいある」