第5章 学生編・終夏のRecord
「あ、はい。分かりました」
警察への通報は女性に任せて周りを見る。さっき突き飛ばされた子供は…
『居た』
「おい、嬢ちゃん!」
呼ばれるのを無視して子供に駆け寄ると子供の周りには学生らしき人集りが出来ていた。
「凜月!月永くんにわんこと愛しき子達まで…」
「「兄者/レイ」」
「「あ、先輩みーつけた!」」
「てめぇ吸血鬼ヤロー!何処に行ってやがった!」
この人達、夢ノ咲学院の…ったく、今日は本当に平和じゃない。
※※※
まさかこんなところで兄者と会うなんて。
まぁコーギーとひなたくん、ゆうたくんとバッタリ出会った時はそんな予感はしてたけど。しかも…何、この子。女の子連れ。
「女連れとはどう言う事だ!?スケコマシみたいな事してんじゃねぇ!」
「いや…これはじゃな…」
「兄者最低」
「いや、だから…」
「あー!もしかしてNoGenderのマネージャーさん?」
「「えっ」」
「あ、本当だ!こないだと雰囲気違うけどマネージャーさんだ!」
「「「ええっ」」」
この子が…NoGenderのマネージャー?
何だろう。聞いてた話とはちょっと違う。皆の話だとミステリアスでアダルト、所謂綺麗系みたいなのを想像してたんだけど…寧ろ真逆で可愛い系な女の子。
「偶然見かけたから野暮な話をしてただけじゃ。お主らは何をしている?」
「突き飛ばされたみたいなんだけど、ずっと泣いててどうしたら良いか分からなくて…」
「男だろ!?泣いてんじゃねぇ!」
『ちょっと君』
一同「!」
低い声でコーギーを指摘する。
『お座り』
「はい!」
『一回回って…』
「わん!…ってあれ?」
『そのまま静かにしてて』
うわぁ…一瞬でコーギーを手懐けちゃったよ、この子。
『貴方達も退いて。邪魔』
一同「はい…」
何。この子の威圧感。逆らったら駄目だと本能的に感じる。
※※※
『ほーら僕、これなーんだっ』
「うっ、うぇ…あん、あ〇ぱ〇ま〇…」
『せーかーい!僕物知りだね!正解した僕にはこのあ〇ぱ〇ま〇のビスケットをあげよう』
一同「………」
あれだけ泣き叫んでいた子供を一瞬で泣き止ませる。姫宮くんの時もそうだったが、どうやら子供には優しいみたいだ。