第5章 学生編・終夏のRecord
『そっか、お膝擦りむいちゃったんだね』
「ゔん…」
『でも大丈夫!じゃーん!』
「あっ!」
『皆大好き正義の味方の絆創膏を貼れば大丈夫!』
と鞄から次々、子供が好きな物を沢山出す。良くもまぁこんなアイテムを持ってるものだ。女子と言うものはそう言うものなのだろうか。
『他に痛い所は無い?』
「うで…うでがうごかないんだ…」
『どれどれ…?あー…これ関節外れちゃってるな…』
一同「えっ」
少し真剣な顔付きで子供の腕を診る彼女を見詰める子供が不安そうに顔を歪める。そんな様子に気付くと安心する様な笑顔を見せて子供の頭を撫でる。
『三つ、数えてごらん』
「うん…いーち、にーい、さっ!?」
-コキン-
『よし、嵌った』
「え、嘘…」「マジか」「すご…」
ふむ。外れた関節を嵌め直すのはそれなりに知識は必要。見たところ子供の扱いには長けてるし、とても子供が好きに見える。目指しているのは保育士…否、保育士ならあんなエリート学校に通わなくともなれる。医者…さしずめ小児科医でも目指してそうだな。
※※※
その後。子供は母親と病院へ行き、ひったくり犯は警察が連行。何故伸びてるのかは転んで打ち所が悪かったって事になって一件落着。一件落着なんだけどアタシは全然落ち着いてない。その一件から変に興味を持たれてしまって付き纏われてろくに買い物が終わらなくてテラスカフェで迎えを待ってる。
「てめぇNoGenderのマネージャーなんだろ!?NoGenderの事を教えろ!」
「NoGenderってどんな人達?」
ついでに残りの買い物も頼んで…そろそろ終わる頃のハズなんだけど…と少し苛立ちながら外野を無視して珈琲を啜りながら携帯を見る。
-すっ…-
一同「?」
「姫様ぁー」
-ガバッ-
-ゴッ-
「べぶっ!?裏拳…ゲキレツ♡」
一同(見向きもしないで…殴っ………た)
『遅い』
お迎えを頼んだ人物に一発入れると顔面を抑えて蹲り、その様子を唖然とした顔付きで見る皆を見て、ハッとする。
しまった。池ちゃん一応凄い人だった。ついいつもの調子で殴ってしまった。
→To Be Continued.