第30章 学生編・中秋のVirtuoso
「なぁ…紫音さんって一応リーダーだよな?」
「リーダーと言う者は偉いんじゃないのか?」
「焼肉の時もそうだったけど姫ちゃんがトップみたいな感じだよね」
椎名が紫音だと知ってるUNDEADの皆が哀れみの表情で椎名を見る。まぁ実際、主導権を握って荒くれ者達の舵取りをしてるのは姫…と池上さん。
『正直そんな肩書ってのは本当にタダの肩書だから大した意味や権限は持たない。私だってプロデューサーを自称してるだけで特に何もしてないしね』
「じゃあ実際はマネージャーである姫ちゃんがリーダーってところ?」
『リーダーでは無い。マネージャー。ただウチのメンバーは皆、姫を崇拝してるの』
みーんな姫に助けて貰ってるからね。だからこそ姫は危うい。身内の事は馬鹿みたいに大事にするし身内の為に自分の身を犠牲にするし自分の事蔑ろにするし。
「何か…怒ってるね」
『別に。チャラ男がウザいだけ』
「うわーそれ酷いなー」
『みい』
『なぁに~』
『そろそろライブ始まるみたいだから、しーちゃん連れて観客席に行っていいよ』
折角チケットもらったんだから観覧しないと勿体無いし、とテキパキと化粧品等を片付けて大きなドレッサーを抱える。
『姫は?』
『アタシは化粧直しとか必要な人が出てくるだろうから舞台裏で待機する』
まだ化粧すらしてない人もいるみたいだし、と首を捻るとUNDEADの人達が物知り顔で"あぁ…"と溜息を吐く。そう言えば朔間兄は見掛けてない気がする。
てゆーか椎名と観覧とか終わってるぅ…
※※※
『凛月君、今日は顔色良いね』
と言っても数回しか見た事無いけど、と化粧を施してくれる姫ちゃんは朝から皆のメイクをして回ってるらしい。
「まぁね…ちょっと睡眠とったし」
『そうねー睡眠は大事よねぇ』
「姫ちゃんだっけ?な~んかくまくんと親しそうじゃなァい」
『凛月君とは何度か会った事あるしね。後レオ君とも』
一同「王さま?」
姫ちゃんの言葉に王さまを見ると王さまはキョトンとしていて少し時間を置いてから何かを思い出した様に手を叩く。
「そう言えばこないだ助けて貰った!」