第30章 学生編・中秋のVirtuoso
Knightsの二人と遊木くん、仁兎くん、椎名くんが皆のベースメイクを担当して細かいところは渉と桜音さんが担当したりと手分けをしてる。プロデューサーも昼前までは皆のメイクをしてたけど受付などの用事で離脱。
「そもそも下宮、お絵描き得意なんだから化粧なんてお手の物じゃないの?」
『無理言わないでよ画面や紙に描くのと顔に描くのは違う』
そもそも椎名くんは何者なんだろう。NoGenderのマネージャーである桜音さんやNoGenderのプロデューサーである下宮さんと仲が良いって事はNoGender関係者なのは確かなんだろうけど。
「お前ほんと使えない」
『それお互い様だから』
一同「………」
うーん…仲が良いんだろうけど…この二人はどうやら犬猿の仲みたい。
「君達は仮装しないのかい?」
『「?」』
「宜しければ仮装なされてはいかがでしょう?貸衣装もご用意してありますので」
『おぉ…気が利く…』
「あ、ねえねえ!ちょっとセクシーなやつ無いの?」
※※※
ピクリ、と姫ちんの肩が揺れる。
『仁兎君ごめんね?ちょっと一分くらい待って』
「?」
そう言うとfineの皆と話すみいちんと椎名ちんのところに行く。
「セクシーなのはちょっと…」
「無いのかー残念…女装させられた仕返しでもしようかなーって思ったんだけど」
一同「!?」
『うわ!馬鹿!』
「え『へえ?何の話かな?詳しく聞かせて?』姫…さん………!?嘘嘘!大嘘!ヤダなあ冗談だって」
『ス〇バのホワイトモカ』
「えっ…」
『今からすぐ。全力疾走で10分以内に買って来て』
「かしこまりました!!!」
と慌てて部屋から出て行く椎名ちん。声とか顔とかは全然怒ってる様には見えないけど多分怒ってるみたいで威圧感が凄い。
綺麗な顔してるのに意外とおっかない。
※※※
「ぜぇ…はぁ………ぜぇ…ひぃ、はぁ…」
もう何度目か分からない全力疾走を終えて、まるで干からびた蛙の様に床に倒れ込む椎名。別に姫は一回しか全力疾走の買物を命じてない。なのに椎名が勝手に姫のご機嫌を取ろうと奔走してるのである。
『馬鹿なの?』