第29章 学生編・中秋のNG HalloweenLive
と言うのもどうやら姫がシオンに女装させたかったらしく断固として嫌がるシオンに先月のリハの合間に行ったお遊びバスケの勝敗の賭けを持ち出してきてシオンも渋々承諾。
「くそぅ…いつか絶対仕返しを…」
「無理無理。アンタ如きじゃ朱音様の足元にも及ばないんだから」
潔く諦めなさい、とクオンも腹を抱えて笑う。
ただのアニコスじゃあ普通のレイヤーと変わらずハロウィン感は無くなるから、ちゃんとハロウィン仕様に傷や怪我を作ったり少しだけ衣装を弄ってハロウィンっぽくしたりステージの飾り付けはまんまハロウィン。
「これ僕、女って勘違いされない?」
「普段からそうだろ」
「そもそもワタシ達はNoGender、無性別。女に見られようが男に見られようが関係無いじゃない」
「ちぇーっ。まぁこの後の打ち上げの為に頑張るか」
※※※
「嘘でしょ!?」
ガタッと桃李が立ち上がる。携帯を持つ手は小刻みに震え顔は少し絶望感があった。
「煩いぞ姫宮。集中力が途切れる」
「どうしたんだい?」
「NoGenderがライブのライブ配信するんだって!」
NoGenderがライブをライブ配信…
そう言えば池上先輩がハロウィンライブをするって言ってたけど…そうか。今日だったんだ。皆の集中力も途切れかけてるしNoGenderのライブを見たい人は多いだろうし休憩がてら。
「じゃあライブ配信、皆で見るかい?」
「………」
と言ってみたものの桃李の顔色は曇ったまま。
「どうやらライブ配信を見れるのは一部の方のみみたいですね…拝見するにあたってパスワードが必要みたいです」
「パスワード?」
「一応NoGenderのホームページ内の何処かにランダムでパスワードが隠されてるみたいですが」
ネットの声は見付からない、が多いらしい。
ランダムって事はホームページ内の何処かで見掛けても次の人はそこを調べても無いと言う事。誰かがパスワードを見付けてSNSに発信したらパスワードは変えられるみたいで誰にでも彼にでも見せるつもりは無いらしい。
実に意地悪なお遊びだ。一体誰がこんな仕組みを考えたんだろうね。
「何、僕達は一回だけパスワードを見つければ良い。それを視聴覚室のモニターに映して皆で見ればいいんじゃないかな?」