第4章 学生編・終夏のSound
慌ただしく桃李が飛び込んで来たかと思うと彼女とぶつかる。身長差もあってお決まりかの様に深い谷間に顔を埋めて。
『………』
「わわ!?何だこれ!すっごく甘い匂いがするし柔らかくて気持ちいい~」
-すっ…-
「…は!桃李!」
彼女の手が桃李に伸びる。この状況とパターンから考えて彼女は明らかに怒っているだろう。叩かれる、と思ったら。
-なでなで-
一同「えっ」
「ん?」
『駄目だよ僕。ちゃんと前見ようね』
「…!?わぁああ!?何だこの…おっぱいおばけ!!!」
『………おっぱい、おばけ…?』
こてん、と小首を傾げると別に怒る事も無くクスクスと小さく笑う…じゃなくて謝罪させるのが先だ。
「桃李、会議中だよ。彼女に謝って」
「御免なさい…でも!侵入者が!」
一同「侵入者?」
「こちらの方です」
と弓弦が抱えていたのは目を回して気を失ってる小柄な女の子だった。
『あ、みい…』
声を発したのは彼女だった。
※※※
-ぽかーん…-
『ねぇ大丈夫?変な事されてない?此処のアイドル科は男所帯って聞いて心配で心配で…』
マネージャーさんの声を聞いた瞬間、意識を取り戻した小柄な女性はクルクルとマネージャーさんの周りを回って隈無く観察をする。
「えっと…君は?」
『え?私?私は………NoGenderのプロデューサー!』
一同(その間は一体…)
『下宮 実菜未です!宜しくね!』
マネージャーさんとは対照的で小柄で人懐っこくて可愛い人だなと思う。対照的なのに凄く仲が良さそう。
『宜しく、じゃないよ。いつも言ってるけど不法侵入は犯罪よ』
一同「いつも!?」
『いやぁ姫の学校に侵入する時はちゃんと姫の学校の制服着てるからバレないんだけど…』
『そう言う問題じゃない。っとにもー…どう詫びるべきか…』
とマネージャーさんが頭を抱えるとプロデューサーさんが何かを閃いた様に制服のポケットから封筒を取り出して中身を数える。
『ひいふうみいよ…あら?五枚しか無い…けど、これでどう?』
『ちょ、みい!!!それは…』
プロデューサーさんが差し出したのは数枚のチケットらしきものだった。