第27章 学生編・中秋のNoGender
そもそも姫様が朱音って事が知られたらかなりマズい…けど姫様に限って正体がバレるなんてヘマはしない。
「ガッツリ31日じゃねぇか。オレはパス」
「ワタシも用事があるからパスかしら」
そもそもワタシ達社会人コンビは31日は用事があるからワタシ達のハロウィンライブは十月の半ばに早めた訳だし。学生達で行ってきてもらっても楽しんでもらうしか………って。
「あぁ!忘れてた!」
『何?』
「ちょっと姫様に頼まれて欲しい事があるのよ!」
『アタシに?』
※※※
『うーん…可能と言えば可能だけども…』
『駄目だよ姫!!!仕事増やすの良くない!!!オカマもオカマで調子乗ってんの?』
「調子には乗ってないってば…」
しゃー!と威嚇する様に池ちゃんを睨み付けるから宥める様に促して書類に目を通す。どうやら数日前に天祥院さんから連絡があったみたいで、それもハロウィンの事。みい達がハロウィンの話をして思い出したそうな。まぁ池ちゃん忙しいし最近ちょっと忘れっぽいところがある。
『そもそもメイクなんてものは今のご時世、動画にいっぱいあるじゃん』
「ただのメイクじゃないわよ。ハロウィン仕様の特殊メイク」
特殊メイクの仕方とかもネットや動画に沢山有るけどね。まぁどうせやるなら腕のいい人に任せたいってのも天祥院さんらしい気もするし、そこでアタシを指名してくれるのは少し嬉しい。
「そもそも姫さんは俺達の専属じゃん。何でまたアイドルなんかの為に姫さんを動かさなきゃいけないのさ」
「ガキンチョ共の言い分も分かるけど和音サンの言い分も分かる。後輩の頼みは先輩として聞いてやりてぇもんな」
まぁそうね。アタシとしてはお世話になってる池ちゃんの頼みはなるべく聞いてあげたいし。それに今回はそれに見合った報酬も払ってくれるらしいしアイドルに興味は無いけどタダでライブが見れるのは美味しい話。
『うん、良いよ。引き受ける』
『頼まれたら断れないの姫の悪い癖…』
※※※
ピコン、と光る"すまほ"を見れば数件のメッセージとやら。えぇと…このメッセージとやらを確認する為にはどれを押したら良いんだったか。
「………」