第27章 学生編・中秋のNoGender
無論、親密になる事によってNoGender解散のリスクは高まるけど、それはアタシがしっかりすれば回避出来るリスクだし。何より人気のUNDEADに池ちゃんの箱でライブしてもらったりサポートする事によって此方側のメリットも大きい。
NoGenderの為の趣味の箱だけど趣味とは言え、利益は出さなくてはならない。
『分かってるよ。ちゃんと。姫がちゃんと私達の事を考えて動いてるって事は。私自身が気にし過ぎってのも』
「そうよォ!気にし過ぎ!男相手に妬いてどうするの!」
『男相手だから余計にそうなるんだよオカマ野郎』
『………うん、一つ言っておくけど…人間としてのレベルが違う人と"そう"はならないかな』
そもそも吸血鬼って人間じゃないだろうし最早人外………て、言うかそれ以前にアタシ一途だし。
※※※
大方の話が纏まったところで"そう言えば"と実菜未が切り出す。
『私達もさっき、あんずちゃんと朔間弟と…Tricksterの衣更?だっけ?その人達と偶然会ったんだけどさ』
「そうそう!俺はすっぴんだったからしれっと避難したけど…」
何でこの二人は夢ノ咲に居た訳?二人共学校は隣町だし実菜未は夢ノ咲にある喫茶店でバイトしてるとは言えバイトの時しか足を運ばないハズなんだけど。
「ほら、あっこ有名な写真屋あるじゃん?」
『「「写真屋?」」』
『ちょ、ちょっとした研究の写真を現像してもらいに!ね!?』
「う、うん!そうそうそう!」
何か…怪しい。
そもそも犬猿の仲の二人が一緒に行動してるって、なぁんか腑に落ちないのよねぇ。よからぬ事を考えるのか…もしくは既によからぬ事をしたのか。
『ま、まぁその時にあんずちゃんからチケット貰ったんだけど…』
「何のチケット?」
『夢ノ咲学院でハロウィンライブみたいなのするらしいんだけど、こないだの体育祭のお礼にっていい席のチケットをくれて…』
断ろうかと思ったけど善意を無駄には出来ないし…とチケットを七枚、机の上に置く。七枚って事は多分NoGender五名とマネージャーの姫様、プロデューサーである実菜未の分を含めてるのだろう。この二人がNoGenderのメンバーって事は知らないだろうし。