第26章 学生編・中秋のMenuett
まぁそれも多分"キャラ"なのだろう。
若いのにキャラ作りを徹底してて凄いな、って思うけどまぁそれも芸能人あるあるって感じかな。アタシも朱音のキャラをもう少し親しみやすいキャラにした方が良かっただろうか。でもリーゼントだし眼帯だしマスクだし…不良の言葉遣いが一番楽なんだよね。
「何をそんなに難しそうな顔をしておる」
『いえ。零さんって不思議だなって思ってたんです』
「我輩が?不思議?」
何だろうね。何か頼りになるって言うか相談したくなるって言うか口が勝手に動いちゃうって言うか。
『多分アタシが一番NoGenderの秘密に厳しくて煩いんですけど、こんな風にポロって出ちゃうんですよ』
「………」
『まあ今の兄弟姉妹話は聞かなかった事にして下さい』
「ほほう…」
ニヤニヤした顔付きで零さんがアタシを見る。
「別にもっと話してくれても構わんのじゃよ?」
『いや、それは…』
「何なら"お兄ちゃん"と慕ってく『間に合ってます』…智桜姫ちゃんも辛辣よのぅ…」
※※※
ガン、とぶつかる寸前に立ち止まる。
目の前を歩いてたプロデューサーは立ち止まると同時に穴が空きそうなくらいに一点を集中して見る。その先には写真屋から出て来る多分すっぴんのし~ちゃんとちんちくりん。ズボンとスカートで形は違うけど同じ制服。
『現像って何で一瞬で出来ないの?』
「知らないよ!色々と段取りあるんじゃない?」
『だから私はその段取りの事聞いてるのー!』
「俺、専門家じゃないから分かんないし」
ガシッとし~ちゃんの胸倉を掴むと激しく揺する様子が見える。その様子を傍観してたら向こうが此方に気付いて、ちんちくりんがプロデューサーに駆け寄る。
『あれ?あんずちゃんじゃん!こんにちわ!』
「こんにちわ、下宮さん」
と挨拶を交わす二人にま~君が首を捻る。
「此方、下宮さん。NoGenderのプロデューサーさんです」
「え!?そうなのか!?」
『どーもー』
多分プロデューサーもま~くんも、このちんちくりんがアイちゃんって事とかし~ちゃんがし~ちゃんって事は知らないみたいだから余計な事は言わぬが賢明と考え、知らないふりをする。