第25章 学生編・中秋のBurlesque
一体どんなインスピレーションだ、って突っ込みたくなったけど、そこに突っ込むのは野暮ってもんだし作曲する人の感覚は身内に居るから何となく分かるから黙っとく。
『この子に感謝してあげてね。この子がアタシを連れて来なかったら…レオ君だっけ?貴方、崖から落ちて怪我よ』
「そうか!お前が助っ人を呼んでくれたんだな!有難う~!うっちゅ〜」
「みゃ゙ー!」
レオ君に抱き締められた猫は吃驚して暴れてレオ君の腕から逃れるとアタシの後ろに隠れる。
「随分と好かれてるんだな」
『まぁたまに餌をあげてるから』
「「「にゃっ!」」」
『何?今度は甘えん坊?君達ほんと自由ね』
「………」
-バッ-
擦り寄って来る猫を撫でてたら制服から取り出したノートとペンを持ってカリカリとノートにペンを走らせるレオ君。いやいやこの人何してるの。此処は滅多に人が立ち入らないとは言えど他校性が迷い込んだと知られると割と大目玉なんだけど。
『悪い事は言わない。早くウチの高校の敷地から出た方がいい』
「霊感(インスピレーション)が沸いてるから後にしてくれ!」
『………(イラッ』
ガッと首根っこを引っ掴んで肩に担ぐ。
「なっ!?何をする!邪魔をするのか!?」
『人の忠告は聞くものよ』
※※※
降ろせって言っても降ろしてくれなくて、その華奢な身体でおれを軽々担いだまま歩いて行くと、やがてボロッボロの校舎みたいなのが見えてきてヤバそうなゴロツキが溜まっていた。
「「「智桜姫の姐さん!」」」
『何アンタ達。また授業サボってんの?』
「いやまぁ…てゆかそのお嬢さんみたいなの誰っすか?」
『迷い猫よ。敷地外に逃がしてくるから授業に戻りなさい』
一同「うぃっす!」
姫の言葉にゴロツキ達は制服や身形をピチッと整えると少し遠くに見える綺麗な校舎の方に歩いて行く。何だ此処は。多分あのエリート学校だよな?エリート学校にもゴロツキはいるものなのか…しかも見るからに束ねてるのは姫。
「お前…何者だ?」
『普通にエリート学校のエリート生徒だけど?』
「そうじゃなくて!」
身を捩って肩から降りて姫を見ると指先で髪の毛を弄ぶ。
『エリート学校に不良が居るのは意外だった?』