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引金の旋律【あんスタ】

第24章 学生編・中秋のEnsemble


『元はと言えば紫音!貴方のせいでしょ!?』



勝手にボーカル入って信じられない、と着ぐるみの被り物を投げ付けると紫音くんにクリーンヒットして紫音くんが目を回しながら倒れる。



「しかし智桜姫ちゃんが楽器弾けるのは少し意外じゃったのぅ」

「兄者に賛同したくないけど確かに。音楽とか興味無さそうなのに」

『一応NoGenderのマネージャーだから。嗜む程度には…』



嗜む程度。
嗜む程度ではあんな機械みたいな正確な音は出せない。相当練習しないと出ない音。そもそもプロですらあそこまで正確な音を出し続けるのは困難であるし癖の一つや二つはある。智桜姫ちゃんの音は朱音くんと正反対で地味ではあるが高い技術を有してるのは分かる。そう言えば朱音くんも癖と言う癖が無い気がする。



『まぁアタシは音楽苦手ですけどね』



芸術系は性にあわない、と肩を竦める。





※※※





目が覚めると何となく見覚えのある天井で少しだけ重たい身体を起こすと、ズルリと膝の上に落ちるウィッグ。目の前にある化粧棚の鏡を見ると長時間ウィッグを付けてたせいで髪の毛に変な癖が付いてるし泣いたせいで滲んだ化粧。
このままで戻る訳にはいかないから化粧を落として櫛で髪の毛を梳かして跳ねる前髪をヘアピンで止めて秘密部屋を出る。



『?』



随分と静かだなと思って裏口から中に入るとバックヤードは随分と賑やかな様子だった。見るからにライブは終わったんだろう。



『あ、おはよう藍、ね゙っ!?』

『御免…また迷惑かけちゃったね』



いつもの様に智桜姫の胸に飛び込んで、ぎゅっとしがみつけば、ちょっとだけ苦しそうな声を上げるけど優しい手つきで頭を撫でてくれる。本当、私には甘い。



「ったく…しっかりしろよヤンヘラ女。てめぇの豆腐メンタルはどうか…っでっ!?」

「馬鹿ね…姫様の前で実菜未を責めるのは禁忌でしょうが」



どうやら姫がレントを殴り倒したらしい。



『ん~…』

『どうしたの?今日はやけに甘えたさんじゃない』



グリグリと姫の胸元に頭を押し付ける。正直窒息しそうだけど、これ凄く気持ち良くて癒されるんだよね。



『姫、いい匂いする』

『え!?結構汗かいちゃったんだけど!?』
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