第23章 学生編・中秋のNurseryRhymes
『これは実話。身分違いの恋に恋して恋に破れた愚かな少女の話』
一同「………」
『それを感情移入させるのが得意なアカネの女声で代弁をしてもらってる。その愚かな少女じゃモデルには役不足だから姫をモデルにした』
「じゃあ…この男の子のモデルは…?」
『………愚かな少女が恋をした男の子の好敵手…というか戦友、みたいな感じかな?』
「分かったわ。そうなると…」
うーん、と首を捻って凛月と影片くんを見比べる。
「イラストの雰囲気だけで見ると、この二人がちょっと近いのよね」
「えっ!おれは無理や!」
「知ってる。そもそも見栄えで言うと二人共、身長クリアしてないから」
「雰囲気なんて姫さんの技術があれば何とでもなるじゃん?だから見栄えを取って斎宮か朔間さんに手伝ってもらえば?身長あるし線細いし」
※※※
『よし、朱音は消えた』
鏡で隅々まで確認して箱のスタッフ専用のポロシャツを着て置きっぱなしにしてる黒のスキニーパンツを着用してスニーカーを履く。
バックヤードの裏口は地下の駐車場に繋がってるだけじゃ無くアタシとみい専用の変身部屋も用意されている。まぁ言うなればアタシとみい専用のロッカーっゆーか部屋ってゆーか。シャワールーム完備までしてくれてるのは有難い。
金持ちはやる事違うよねぇ…
『よいしょ』
バックヤードの裏口から箱内に入ってステージ裏の階段を上ってVIP席を通り抜けてモニタールームの扉に手をかけた時だった。
-ガチャ-
『わっ!?』
勝手に扉が開いて勢い任せに前のめりになるから転けない様に床に手を付いて側転をしながらモニタールームに入るとパチパチと乾いた音が響いた。
「わりぃ姫サン。便所行こうとしたら扉開けるタイミング被ったわ」
『あぁそうなの?黄音とタイミングが合うとかとても心外なんだけど』
「今日も一段と冷めてマスネェ」
『さっさと御手洗行きなさいよ』
※※※
「姫ちゃ~ん」
『わ!何何!?今度は何!?』
レントと少し言い合った後に朔間弟が姫に抱き着く。え?何こいつ。殺していい?殺していいよね?なんて殺気を放っていたらクオンに"落ち着け"と言わんばかりに肩を掴まれる。