第20章 学生編・残暑のUNDEAD(幕間)
ちゃんとお利口に歩道を歩いてるのに。
-キッ-
と小さなブレーキ音と同時に丁度俺達の横に何処かで見覚えのある割と大きめのファミリーカーが停車したかと思うと助手席の窓が開いて車の中から声をかけられる。
「こんにちわ、UNDEADの皆さん」
「「………空音、さん!?」」「「池上(先輩/さん)!?」」
「皆で帰宅なんて仲良しね」
「ちげー…です?し!仲良くねぇですし!」
「あぁ、無理して敬語使わなくていいわよぉ」
クスクスと優雅に笑う姿は本当に美人。正直、男なのが勿体無いくらい。
「良かったら送ってあげようか?ついでだし」
「気遣いは無用だ。俺達は今から肉を食いに行く」
「お肉?」
「何か流れで焼肉行く事になっちゃんたんだよね~」
「焼肉…お店は決まってるの?」
「「決まってない」」
決まってないんだ。急かすからてっきり決まってるものだと思ってたんだけど…ノープランか。
「じゃあワタシ達と一緒する?」
一同「!?」
「ワタシもこれから知り合いの店貸し切って仲間内で焼肉するのよー!ちょっと遠いんだけど奢るし送りもするし…どう?」
池上さんが行く所ってなると多分、相当美味しい所だし奢りで送りもあるなら棚から牡丹餅だな。
(仲間内って事は…)
(もしかしたらNoGenderも?)
(これはNoGenderの事を知れるチャンスでもある)
(無理に秘密を暴くのは感心せんのぅ…)
※※※
「ちょっと久々に顔を見たかと思えば随分と元気そうじゃねぇか姫サンよぉ?」
『お陰様で』
「ぐっ…離しやがれ!!このうしちち女!!!」
『やぁねぇ…待てが出来ないなんてお行儀が宜しくなくってよ、脳筋単細胞』
ギリギリとまるで刀を持った人間が鍔迫り合いでもしてるかの様に箸を箸で止める異様な光景。生肉に箸を伸ばそうとしてる体躯の良い男と、その箸先を箸で摘んで制しているのは…智桜姫ちゃん。そしてそれをオロオロと見守るのはNoGenderのプロデューサーと………知らない…男、の子?なのかあの子は。
「何、これ…一体どう言う状況?」
『やっと来た!オカマ………と、えっ!?』
「UNDEAD!?」
一同「!?」
と声を上げて駆け寄って来たのは男、の子…?男の子。