第3章 学生編・終夏のOverture
「俺達に出来る事ある?」
「何か手伝える事があったら遠慮無く言ってくれ」
「うん、有難う」
皆の優しさに有難みを感じながら向かうのは生徒会室。
※※※
「「お疲れ様ー」」
「「お疲れ様でしたー」」
ここは小さなライブハウス。トリのグループのライブが終わりお客を全員撤退させてから会場に明々とライトを灯す。
『みーかっ!お疲れ様ー!今日もとっても可愛かったよー!』
「ぐえっ!?」
といつも通りトリを飾ってくれるグループ、Valkyrieの影片みかに飛び付くのはメンヘラクソ女。
「影片は大変だな…こんなクソアマに懐かれて」
「そう思うんだったら助けてぇなぁ…」
『うんうん、可愛いよみか!』
「浮気かよ」
『男と女は違いますぅ!!!』
そんなやりとりをしていたら隅の方で和音さんと斎宮が話してる会話が聞こえる。
「良いのかい?彼女は此処のスタッフだろう?さっきから全く働いてないが」
「良いんだよ。あの子にはもっと重要な仕事任せてるから」
その視線の先に居るのは姫さん。バックヤードのメイクスペースでひたすら書類を眺めていた。
「さっき天祥院から書類を預かったんだ。斎宮、お前もいつまでもこんなところでライブしてないで学院でやれよ」
「こんなところって…君のライブハウスだろう」
そう。ここは和音さんが趣味でやってるライブハウス。所謂オーナー。本職は財閥の跡を継いでる何処かの会社の社長。
「ほぅら姫様!そろそろ閉めるわよ」
『あ…もうそんな時間?つーか抱き着くなキモい』
「んもぅ姫様のいけずぅ~」
姫さんに抱き着く和音さんとそれを鬱陶しがる姫さん。そんなやりとりを眺めていたら視界の端に影が現れる。
「ライブ、するらしいね」
「まぁな」
「素性が割れない様に気を付ける事だよ」
「姫さんいるから問題無ぇよ」
※※※
「聞いたぜ吸血鬼ヤロー!NoGenderとの打ち合わせに参加するらしいな。俺様も連れて行けぇ!」
一体何処から漏れた情報なのやら。
「参加出来るのは各ユニットのリーダーのみ。残念じゃがわんこを連れて行く事は叶わんのぅ」
「んだとぉ!?」