第2章 イライ・クラーク
その後走ってイライが私に追いついてきた。一応イソップくんの部屋まで案内して貰えた。無事イソップくんの部屋にたどり着くことが出来たが、イライが私がここに来た理由を知ると、
『じゃあ僕も一緒に行くよ!』
と言い出した。
『えっ……』
とイソップは一瞬嫌そうな顔をしたが、上手く断る理由が見つからなかったのか渋々、
『……わかりました。』
と答えた。
『……せっかく2人きりになれると思ったのに……』
ボソッと呟いたイソップの声に私は気づくことは無かったがイライだけはフフっと笑っていた。
2人に荘園を案内してもらい終わると、時計は13時を指していた。
『そろそろ試合に出ていた人達も昼食を食べに戻ってくる時間だね。まだ全員に自己紹介は終わってないんだろう?食堂に行こうか。お腹も減ったし…ね。』
とイライが言った。
食堂に向かうと朝はいなかったサバイバー達がいて私は自己紹介した後、昼食を食べた。
昼食を食べ終わり、一度自室に戻った私は、朝部屋を出る時にはなかったものに気づく。
『なんだこれ?』
机の上にはピンク色の液体が入った小瓶が置いてあった。
上の方はハートのキャップが着いていて、外して見るとスプレーのように中の液体を吹きかけることが出来るみたいだった。
これも荘園の主からの贈り物だろうか…。香水みたいなもんかな……と不信がりながら、シュッと手に一回吹きかけてみた。
ふわっと砂糖菓子のようななんとも言えない甘い香りが漂う。
『不思議な匂い……だけど、いい香り……。』
その匂いを嗅いでいると不思議と頭がぼーっとしてきた。
〈トントン〉
ドアをノックする音が私をハッと正気に戻す。
なんだったんだろう、今の感じ……。そう思ったが来訪者を待たせる訳には行かないので小瓶を机の上に戻し、ドアを開ける。
ドアの前にはイライが立っていた。