第1章 始まり
『大丈夫かい!?』
その人は門を開け、両手で私の手をとり、顔を覗いてきた。
しかし相手の顔は目隠しをつけていて見ることは出来ない。
『君が来るのがポッポちゃんで見えてね。ここに人が来るのは珍しいことではないけど、君が靴を履いてないのが見えて……』
『……イ……ライ……?』
思わずその名を口に出す。
それもそのはず、目の前の人物はイライにうり二つなのだ。
『?…なぜ僕の名を?……!…そんなことよりそのままじゃ風邪ひいちゃうよね!中に入って!』
手をひかれるがまま、私は建物の中に入る。
中はとても明るく、温かかった。
『あ、エミリーさん!』
『あら、イライくん。どうしたの?あら?その子は…?』
『森の中をさまよっていたみたいなんだ。』
『まあ!そんな格好で!?寒かったでしょ。こっちよ、いらっしゃい。イライくんもあとは任せて。』
『ありがとうございます。お願いします。』
私は2人の会話を聞きながらも、混乱した頭がパンクしないようにするだけで精一杯で、なすがままにエミリーと呼ばれたその女性について行った。