第1章 始まり
『はぁー、今日も疲れたー。』
私は今日も仕事で疲れた体をベッドに預け、毎日お決まりのようにため息混じりに呟く。
(さて、今日も第五するかー。)
とスマホをいじろうとすると、
〈ピンポーン〉
無機質な甲高い音が部屋に響いた。
(誰だろう?こんな時間に。特に通販でなにか頼んだ訳でもないけど……)
『はーい』
そう言ってドアを開けると、
『え?』
そこには誰もいなかった。
(なんだよ、もう。イタズラ?)
そう思って閉めようとすると、
『ん?』
そこに一通の手紙が落ちていた。
『なんだこれ』
拾ってみてみると、白い封筒に赤いロウで封がされている。
(へー、今どきこんなにアンティークな感じの手紙送る人いるんだー)
と思いつつその手紙を持って部屋に戻った。
ベッドに座り、その手紙を読もうと封を開けると、
『うわっ!』
真っ白な光が私を包み込んだ。
『なんなの、一体……』
そういっておもわず瞑っていた目を開けると、
『え……』
そこは自分の部屋ではなかった。
まだ先ほどの光ではっきりとは見えないが、見渡す限り木しかない。
『どこよ……ここ……森?』
しばらく訳が分からずその場で呆然としていた。
だが、辺りはもう暗い。
(このままここにいるのは危ない気がする。)
そう思い、周りを見渡すと奥の方に光が見えた。
(あそこに行ってみよう。)
意を決して、光の方に進んでみる。
元々部屋でくつろいでいたので、靴なんて履いてない。
冷たい土の温度と小さな石を踏む度、思わず顔をしかめる。
涙目になりながらも、暗い森に留まるのは嫌なので、歩を止めることはしない。
〈ホォー〉
どこかでフクロウがなく声も聞こえる。
光の近くまでいくと、見覚えのある大きな建物が見えてきた。
(この建物……第五の荘園みたい……)
すると、建物の扉が開き、
中からフードを被った人がこちらに駆け寄ってきた。