第8章 天喰くんの屋根裏
リルルside
ふと物音がして、帰ってきたのかな?、って思うけどなかなか目が覚めなくて、また夢の中に落ちてしまう。
その時、ふわっと体が宙に浮いた。
優しい感触と好きな人の匂いがして、思わずぎゅっとしがみついた。
そして、ふわふわな場所に下されると私から離れる気配がして、すぐぎゅっと何かを掴んだ。
『…た、まきくん?』
「…っ⁉︎ 悪い、起こしたか…?」
『…おかえり、なさいっ…』
「…あぁ、ただいま…」
環くんから触れるだけのキスが降って来る。
でもだんだん深くなっていき、まだ頭が起きていない私には刺激が強すぎて、ぼーっとしてきた。
『…んっ、ふっ、はぁ//』
「…っはぁ、…ご、ごめんっ、…着替えてくる///」
我に帰ったような反応の環くんは、赤くなった顔を隠すように、寝室から出ていった。
*
天喰side
「あんなキスするはずじゃなかった…」
触れるだけのキスで済ませようと思ったのに、ふわっと笑うリルルに我慢出来ずに、つい夢中になってしまった。
リルルといると自分が自分でなくなる気がする。
いい意味と悪い意味と、今回のは悪い意味で、だ。
「…この熱はどうしたら、いいんだ…」
シャワーに打たれながらもう意識してしまった熱を流そうとするが、ますます熱くなるだけだった。
あとは寝るだけだが、さっきのこともあって寝室へと向かう足取りは重い。
ついてしまった寝室のドアを、ため息を出しながら開けると、すーすーと寝息が聞こえた。
側へ寄ると、ソファで寝ていた時と変わらず気持ちよさそうに寝ている。
反対側に回って、そっと布団に潜る。
「少し、触れるだけ…」
横になる前に、俺に背を向けて寝ているリルルの頭を撫でる。
頭を2、3回撫でて、そこから頬へ移動する。
すべすべで柔らかくてずっと触っていたくなる。
『……んっ』
「…っ⁉︎」
ふと吐息が漏れて、寝返りをうつリルル。
俺は、慌てて手を引っ込めた。
危ない、もう少しで起こしてしまうところだった。
また冷めた熱が再び身体に帯びてきた。
「ごめ…リルルっ」
俺は寝ているリルルにまた口付けをした。