第8章 天喰くんの屋根裏
〜2部屋目 夜這い〜
リルルside
時計を見ると日付が変わっていて1時を過ぎた。
環くんから、今日は遅くなるから寝てて、って連絡をもらっていたけど、起きていたくて家事やら掃除やら済ませていた。
『まだ、かかるのかな…』
あっという間にやる事を済ませてしまい、ソファにぼーっと座っていた。
環くんが無事に帰ってくるまで待っていたい。
今日の仕事は大変って言ってたから姿を見るまでは寝たくない。
けど私の眠気は限界で、ソファに横になってしまった。
『…少しだけっ…』
私の意識はそこで途切れた。
*
天喰side
ガチャっと玄関のドアを開ける。
「…ただいま」
たぶん寝室で寝ているであろうリルルを起こさないようにそっと入る。
「…あれ、リビングの電気が付いてる…?」
今の時間は2時過ぎ。
まさか起きて?、俺はリビングのドアを開けた。
「…リルル?」
リビングを見渡すとソファでクッションを抱きながら、寝入ってるリルルが見えた。
たぶん、ぎりぎりまで起きていたんだろう、と思うと愛しさが募る。
今日の疲れなど無かったかように、すっと消えていく。
いつまででも眺めていたいが、このままだと風邪を引いてしまう。
俺は、リルルを抱き上げると寝室へと運んだ。
それはそれは慎重に、決して起こさないように。
ふと起きたのか、ぎゅっと抱きついてきて、ビクッと震えてしまった。
「…起きたのか?」
問いかけても反応はなかった。
「無意識、なのか? 心臓に悪い…」
それでなくても君の匂いがして我慢、してるのに。
寝室に着くと、ベッドにそっと下ろす。
気持ち良さそうに寝ているリルル。
これ以上一緒にいたら、まずい、と側を離れると、服の裾を掴まれた。
『……た、まきくん?』
「…っ⁉︎ 悪い、起こしたか…?」
『…おかえり、なさいっ…』
ふわっと笑うリルルに俺は、ただいま、と笑って触れるだけのキスをしてしまった。