第1章 切島くんのお部屋
〜4部屋目 白雪姫〜
切島side
『鋭児郎くーん!』
「おぅ、どうした?」
休憩時間、次の授業までどうすっかなーと思っていた矢先、リルルに呼ばれた。
思わず顔がニヤけるのを我慢して、返事する。
『あのね、文化祭で白雪姫やるんだけど、私が白雪姫なの!』
嬉しそうに言うリルル。
ー 白雪姫かぁ、ドレスとか着るんだよな?
絶対綺麗だろうな、と想像したらまた顔がニヤケちまう。
「そっか、すげぇな! もし大変なら俺も手伝うからな!」
『うんっ、ありがとう!』
笑顔で言うリルル。
この時、気づけば良かった。
そうすれば悲しませずに済んだかもしれないのに。
*
後日、劇の練習でリルルにつき合うことにした。
『じゃあ終盤のこのシーンからお願いできる?』
「おぅ!」
俺は言われたところの台本を見ると、ここでキスのフリをする。と書いてあった。
「キキキスっ⁉︎///」
『鋭児郎くん、フリだからフリ笑』
「いや、でも、顔を、近づけるんだろ? しかも他の男と…」
『まぁ、そうだけど…』
ーそれだけは、ダメだっ…やめさせないと、力づくでも…
4部屋目 白雪姫 END