第5章 上鳴くんのお部屋
〜2部屋目 普通科の私とヒーロー科の出会い〜
リルルside
午前中はあんなにいい天気だったのに、今はどんよりと今にも降ってきそうな曇り空。
私は急いで帰るべく学校を出た。
*
あと半分という所で、ぽつっとおでこに雨粒が落ちてきた。
ー やばい! 降ってくる!
一粒感じると雨は、とたんに降ってくると聞いたことがある。
運がいいことに、屋根のあるバス停に逃げ込むことができた。
すると、雨音がするくらいだんだんと強さを増して降ってきた。
しばらく止みそうにないなぁ、と空を眺めていたら、雨やっべー!って男の子が駆け込んできた。
確かA組の上鳴くん、だった気がする。
結構びしょびしょで、このままだと風邪ひいてしまう。
ハンカチを貸してあげたいけど、そんな勇気は持ち合わせていなかった。
ちらっと見ると、彼と目が合った。
雨も滴るとはこのことかなと思いながら胸が高鳴ってしまった。
「雨やばくね?」
『え、そ、そうですね?』
「あれ? 雄英生徒かなと思ったけど違った?」
『いえ、ちょっとびっくりしちゃって…』
「そっか、ヒーロー科じゃないよね?」
『は、はい、…あ、あのよかったら…』
私は、恐る恐るハンカチを差し出した。
「え!? いいの? 結構濡らしちゃうよ?」
『大丈夫です、使ってくださいっ』
「サンキュー!すっげー助かる!」
上鳴くんは、手や顔を拭きながらこう言った。
「俺、上鳴電気、これも何かの縁だから雨が止むまで俺と話そうぜ?」
2部屋目 普通科の私とヒーロー科の出会い END