第4章 轟くんの屋根裏
「……リルルっ!」
私は、顔を上げて声のする方を見た。
ずっと、ずっと会いたかった人に。
『…焦凍、さ、まっ…』
でもなんでここに、嬉しさと驚きで感情がぐちゃぐちゃだった。
「…あー?なんだお前は…」
「…リルルを返してもらうぞ」
「あーお前だったのか、こいつを降ったの」
男の人に腕を無理矢理掴まれる。
『…いやっ』
「…っ、リルルに触るなっ」
焦凍さんは、男の人の腕をひねると私を抱き寄せた。
『焦凍、さまっ…///』
「…大丈夫か⁉︎」
『…え、あ、は、はいっ、ありがとうございます///』
突然のことすぎて、頭が回らないけど夢じゃないことは確かで。
「…おま、何勝手にー」
「…こいつは、まだ俺のだ。」
そう言うと焦凍さんは、私を抱き上げてその場を去ってしまった。
『…え、あ、あのっ、いいんですか?///』
「…あとで親父がなんとかするだろ…」
公衆の面前で、お姫様抱っこをさせられてゆでだこ状態の私。
『…お、降ろしてくださいっ///』
「なんでだ?」
『なんでって、は、恥ずかしいに決まってるからです///』
「誰も見てないだろ…それにほら着いた…」
『……あ、あれっ』
いつの間にかお屋敷に到着していた。
腕を引かれるまま、焦凍様のお部屋に連れていかれる。
私はずっと気になっていたことを聞いた。
『…どうして?』
「俺はある人のおかけで、救われた。それで母さんに会いに行ったら、お前の話をしてくれた。
お前はあいつが選んだ女だと思っていた。
でもお前は、好きで俺を選んでくれたんだって」
『…〜っ///』
「…俺はお前にひどいことをしてきた、お前を好きになる資格なんてないかもしれない…」
『…そんなことありませんっ!助けに来てくれたじゃないですかっ…凄く凄く、嬉しかったんです。
…ずっとお慕いしてきて良かった///』
「…っ//」
『…焦凍様?』
「…あまり、こっち見るな…///」
顔が真っ赤の焦凍様だった。