第4章 轟くんの屋根裏
〜2部屋目 キスが長い焦凍さん〜
リルルside
『おかえりなさい、焦凍さん』
「あぁ、ただいま…」
新婚のカップルがするような、甘ったるいおかえりなさいのキス。
けど、焦凍さんは触れるだけじゃ終わらない。
『…ふぅ、んっ///』
それはそれは長いキスで一向に離してくれない。
だから私は毎回、焦凍さんの腕をぎゅっと握って終わらせる。
「…んっ、…悪い」
『…はぁはぁっ///絶対、悪いと思っていませんよねっ///』
私は、まったくもぅ!、って言いながら焦凍さんの荷物を預かって、リビングへ向かった。
「…お前と結婚してもう5年経つのか…」
カレンダーをふと見て呟く焦凍さん。
『…え、覚えていてくださったんですか?///』
「…当たり前だろ?、出会ってからになると…」
『…そろそろ20年になりますね、凄く早い…』
私は焦凍さんとの出会いを思い出した。
*
焦凍様と初めて会ったのは小学生の時だった。
代々有名なヒーロー家に嫁ぐ家に生まれた私は轟家の焦凍様の許嫁としてお屋敷に呼ばれていた。
『…はじめ、まして、しょうとさまっ…』
「はじめまして、なまえはなんていうんだ?」
『…えと、リルルっていいます』
「…リルルか、よろしく!」
『…はいっ//』
私に柔らかく微笑んでくれた焦凍様は、白と赤の髪色が凄く綺麗で一目で私の心は奪われた。
それからずっと、私は焦凍様と一緒でその頃は幸せだった。
でもあの事件が起きた。