第2章 切島くんの屋根裏
だいぶ雨脚は弱くなったが、鋭児郎くんの家に着く頃には2人ともぐっしょり濡れていた。
「…ただいまー!」
『…お、お邪魔しますっ』
「…ちょっと、待ってろな」
鋭児郎くんは、荷物を乱暴に置いてバタバタと、多分脱衣所に向かった。
途中で、お母さんかな? やりとりが聞こえて思わず笑ってしまった。
「…とりあえずこれで拭いてくれっ」
『…ありがとうっ// あ、ジャージもありがとうっ、ごめんね、濡らしちゃって…」
「…そんくらい、どうってことねぇって」
そんでさ、って気まずそうに話を切り出す鋭児郎くん。
鞄やら服やら拭きながら、どうしたの?、って返事をする。
「母親がさ、風呂入れって、言っててさ//」
『…うん、鋭児郎くん入ってきなよっ!』
「…お、お前も入れって…//」
『…えっ///』
ー 確かに濡れたままお邪魔するのは気が引けたからありがたいけどいいのかなっ
「…着替えとかは、俺の貸すから、先入れっ//」
『…じゃ、じゃあお言葉に甘えてっ///』
私は、お風呂場へと向かった。
夏とはいえ、雨に打たれると肌寒い。
家まで上がらせてもらって、お風呂も借りて、服まで借りるなんて思わなかったなぁ、なんて思っていたら、ついのんびり温まってしまった。
『…えっと、これかなっ』
幸いにも下はそんなに濡れていなかったからそのまま履いて上だけ借りることにした。
ー 鋭児郎くんのシャツ…//
上からぽふっと着ると、やっぱり男の子だから大きい。
ー なんかワンピースみたい// スカート履いてるけど
そのまま脱衣所を出ると、鋭児郎くんが待っててくれていた。
『…えっ、ずっと待ってたの⁉︎//』
「…だれか開けたらまずいだろっ///」
『…ご、ごめんねっ、待たせてっ』
「いいから、…部屋で待っててくれっ//」
何故か顔が赤い鋭児郎くんはさっと、脱衣所に入っていった。