第1章 切島くんのお部屋
そして、冒頭に至る。
服はあのまま、お兄ちゃんと別れたあと、ここに来たらしい。
縛られたり、鎖に繋がれてたりはなかった。
ー なんとかして逃げないと…
そう思って金属の柵に近づくと、鍵はもちろんかけられていた。
ー まぁ、そうだよね…
その時、足音が聞こえた。
ー 誰かくる…、敵? 見方?
私は怖くて、奥の隅っこの方で小さくなっていた。
「お、目が覚めたみたいだな!」
『…切、島くん?』
ー …待って…目が覚めたみたいって…
『もし、かして…』
「あー気づいちまったか、
そう、俺がリルルをここに連れてきたんだ」
聞いた瞬間耳を疑った。
『え、なん、で…っ』
「俺の誘いを断った、から」
聞いたことない低い声。
思わずビクッと震えた。
『あれは、その…』
「もう、いいよ、男と会ってたんだろ? 知ってるから…」
『見てたの?』
「いい人そうだな、俺と違って…」
『そんなことっ…』
「悪ぃ、言い訳は聞きたくねぇんだ」
『ちがっ、お願いっ、切島くん…聞いて』
「これでいいんだよな、これで…
もう、ずーっと一緒だからな」
13部屋目 監禁 END