第1章 切島くんのお部屋
〜12部屋目 普通科の私とヒーロー科の出会い〜
リルルside
ー 最初、見かけたのはいつだったかな…
登校する時に校門で見かける人がいる。
確かA組の切島くん、だった気がする。
赤い髪が派手で一度見れば覚えちゃうくらいの彼。
最初は、目が合うだけの関係?とまではいかないけど。
毎朝、同じ時間のタイミングでいるからつい目を合わせてしまう。
今日も校門の前で目が合った。
『……っ』
「…っはよ」
私は、ぺこっと頭を下げてその場を去ったけど、去り際に何か聞こえた気がした。
*
次の日の朝。
私は、体調が悪くて遅刻して学校に登校した。
ー どうしてるかな、切島くん、
でも、朝会うだけの見ず知らずの人に心配なんてしないよね
*
そして更に次の日。
いつもの時間に登校すると、切島くんはいた。
なんだかそわそわしてる気がする。
ふっと目が合うと、なんか安心したような表情をして思わず、ドキッとした。
何か話しかけようとしてるのがわかって、でも私から話しかけることなんて出来なくて、軽くお辞儀してその場を去ろうとした。
「あ、…待っ…」
ふとポケットに入れたハンカチが無いことに気づいた。
ー うそっ、どこに落として…
後ろを向いた時に、スッとハンカチが差し出された。
「…こ、これ、お前のだよな!」
『え…あ、ありがとうっ//』
切島くんからハンカチを受け取る。
「昨日、何かあったのか…?」
『…えっ…?』
「…い、いや、いつもの時間にいないから何かあったのかと思ってっ」
『…そ、そうなんだっ//』
「ずっと、声かけたかったんだ、今日はハンカチ落としてくれてありがとな!」
12部屋目 普通科の私とヒーロー科の出会い END