第2章 first quarter
一旦、由梨達と別れた私は校舎の外へと出た。外は相変わらず冷たい風が吹き、地面に落ちた木の葉が勢いよく飛びまわっている。
「やっぱ、外は寒いな~・・・。」
私は小さく身震いをしてから、足を踏み出した。目的地は、私が三年間走り続けた陸上専用のトラック。運動部に力を入れていると言うだけあって、色々な部活専用のコートやトラックがあり、陸上部が使う場所まで行きつくには、暫く外を歩かないといけないのだ。在学中はなんとも思わなかったこの距離が、今はとても遠く感じる。
「歳ってヤツですかね・・・。」
明らかにばば臭い台詞を吐きながら、私がゆっくりと足を進めていると、正面からTシャツを来た男の子達が楽しそうに会話をしながら此方へとやってくる。
こんなにも寒いと言うのに、彼らは額に汗を浮かべ、上気した顔でなにやら部活の専門的な話をしているようだった。
・・・体育館、から出てきたよね。
私は彼らとすれ違ってから、足を止めてその背中を振り返る。バレーか、バドミントンか、・・・・バスケット、か。
よくよく思い返してみれば、彼らが出てきたのはバスケ部専用の体育館。
・・・その時、数か月前に見た、あのおチビ君が私の脳裏に浮かんできた。・・・彼は、元気にやっているのだろうか。
目的地を変更した私は、そのまま体育館へと足を向ける。もちろん、バスケ部専用の。
***
開け放たれた体育館からは、真冬だと言うのに熱気が漂っていた。周りに人はいない。休憩中なのだろうか。体育館の中からは、数人の話し声が聞こえていて、私は恐る恐るその入り口から中を覗き込んでみた。
体育館の中には、男の子が三人。二人は此方に背を向けるようにして立っており、残りの一人は此方からも表情がうかがえる位置に立っている。
「う、そ・・・。」