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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter


 私達が職員室へ訪れると、在学中にお世話になった先生方に声をかけられる。私と由梨は、同じ部活に所属していただけで、三年間クラスが一緒になった事はないため、馴染みの先生はそれぞれ違っていたのだけれど。
 在学中はよく二人で居たからか、由梨の授業しか担当していなかったはずの先生も、私の事を覚えていてくれているようだった。

 そんな中、職員室へ戻って来た鈴木先生の驚いた顔と、目元に皺を作り、ニコリと笑って見せたあの笑顔は一生忘れないだろう。

 暫く、職員室の隅に置かれた小さめのソファに腰かけ、コーヒーを頂いていた私達と先生の間に会話は尽きない。それでも、この楽しいひと時の終わりを告げるチャイムは校内に鳴り響いてしまう。

 そろそろ授業が始まるから、と立ち上がった先生は、私達に深くお辞儀をして「ありがとう」と笑顔で告げた。そんな先生の穏やかな笑みに、思わず涙しそうになったのは私だけではなかったようだ。


***


 久しぶりに来た母校を堪能しては、と言う先生達の計らいで、暫く校内をぶらりと歩ける事になった私達は、そのまま自分達が授業を受けていた教室へと足を運ぶ。

「懐かしいね~。」
「だねー。」

 校内を歩く生徒たちは、私服で堂々と廊下を歩く私達を不思議そうな目で見ていたけれど、校舎内は在学中となんら変わりがなく。まるで、あの日からこの建物だけ、時間が止まってしまっていたかのような錯覚に陥ってしまう。

 そして、校舎の突き当たり。由梨が最後に授業を受けた教室で、由梨は、彼女の恩師とも呼べる先生の名を呼んだ。確か、由梨の進路相談を親身になって聞いてくれた先生だと言っていた気がする。

「先生。久しぶりですね。」
「おー。中村か。」

 足早に歩く由梨の視界には、優しそうな男性教諭の姿。正直、さほどその先生とは接点がなかった私は、会話に入る事に少し気が引けて、一人で校舎内を回ってくると提案した。尽きぬ話もあるだろうし。私が隣で待っているとなると、二人も気を使うだろうと思ったからだ。

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