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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter


 ふいに周囲から湧く歓声。どうやら、私の母校である海常高校が点を取ったらしい。とは言え、やっと縮めたその2点は、数十秒後にはまた2点と逆転されてしまうのだけれど。

 先ほどから、展開の早い点撮り合戦が続いている。試合時間は、残り1分をきった。79対80。これがサッカーならば、残り1分をきれば試合は決まったも同然だ。勝っている方が、時間をゆっくりと使い、ボールをキープし続ければ良い。
 ただ、バスケはそうもいかないらしかった。

 再び、海常がボールをキープしてシュートを放つ。スリーポイントだ。
 残り時間を考えれば、相手もスリーポイントを入れないと厳しいだろう。普通のシュートじゃ同点。・・・バスケも同点で試合終了となればPK的な何かに突入するのだろうか?もしくは、延長戦?・・・よく分からないけれど。このままの点差をキープして勝利する事が、一番の良策である事には変わりない。

「きめろー!」

 観客席でそう叫んだのは、相手チームを応援している人だろう。相手チームの一人が、スリーポイントラインの外でシュートモーションに入る。
 しかし、宙に投げ出されたボールはリングに辺り、ぐるぐるとその周りを回転してから地面へと落ちた。

 その一部始終をゴール下で見守っていた大型の選手が何人かで絡まり合いながら、ボールの争奪戦を開始。
 争奪戦に勝利したのは、相手チームの選手で、無理やりゴールへとボールを運びダンクした。

「・・・同点。」

 私がそう呟いている間にも試合は進む。再び、何度かの攻防戦を繰り広げた後。コートへと投げいれられたボールを手にしたのは、コートの中で一際小さく見える男の子。一年生だろうか。彼よりも遙かに背の高い選手が、彼のボールを奪おうとアタックするけれど、小刻みに動き回る上に速い彼のドリブルになすすべもないようだ。

 残り30秒。

 この残り時間でも、おチビ君は周りを見渡してチームを勝利へ導くための最善の道を考えているのだろう。ポイントガート、なんて名前のポジションなのかもしれない。いわば、チームのゲームメイカー。この試合に勝利するため、彼が選んだ道筋は・・・

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