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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter


 ここは高校バスケのIH会場。

 その中心にあるバスケットコート二面を取り囲むように設けられた観客席から、大きな歓声が沸いたのは二面あるコートのうちの、片方の試合が終わった瞬間である。

 勝者は、秀徳高校。インサイドが凄いチームなのだと、彼女は言っていたけれど、正直、私にはさっぱり分からない。それでも、彼らの放つ『強さ』は、横目で観戦しながらもなんとなく理解ができた。なんというか、貫禄がある。

 そして、観客席から大声で応援するオレンジ色の集団。きっと、彼らも秀徳高校のバスケ部なんだろう。その彼らの見つめる先にいる十人そこそこのメンバーが、選び抜かれた『最強の選手達』。こうやって見ているだけでも、あの場所に立つ競争率が計り知れる。

「凄いな・・・ホント。」

 私はため息交じりにそう言って、先ほどから見つめていた母校の試合へと視線を戻した。


***


 バスケのルールもろくに知らない私が、この会場に居るには少し訳がある。まあ、訳と言ってもさほど大した理由ではないのだけれど・・・。

 それは、数日前の事だ。仕事先の後輩が、唐突に「最近の学生バスケは凄い!」と語り出したのだ。なんでも、なんとか中学校に十年に一人と言われる人材が5人も揃ったのだとか。

 だが、彼女はその十年に一人のキセキ的な集団よりも、その中学で主将だった『虹色さん』について、小一時間ほど語っていた。きっと私が止めなければ、彼女の語りは朝まで続いただろうと思う。

 正直、中学生なんてどうでも良かったのだけれど。私は彼女がそこまでハマる学生のバスケットに少しばかり興味を持ち、自宅で試合について調べてみたのだ。

 そこからは察しの通り、中学も高校もさほど変わりはないだろう、なんて思いながら、ちょうどオフの日に行われる母校の試合の観戦にやってきた。それが、私がこの会場にいる理由である。

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