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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter



「別人だわ・・・。」

 思わず呟いた私の一言に、隣に座っていた武内先生が反応を示す。どうした、と尋ねられ、心中を告げる事を少し戸惑ったのだけれど。まあ、先生だし、と一人納得した私は、数か月前に見た、あの試合の事を思い出すように言葉にした。

「あのコートに座りこんでた子がさ、心配だったんです。個人的に。だから様子を見に来たってのが、ここに来た理由。」
「なるほどな。あの後の笠松の失速は見るに見かねた。今ではああやって自分の成すべき事を見つけて前を向いているが、・・・笠松の中では、まだあの試合は整理しきれていないだろうな。」
「自分の中の切替だけじゃ片付かないですもんね、あればっかは・・・。」
「だが、俺はあの一件があったからこそ、笠松を主将に選んだ。」
「え?待って。笠松君って主将なんですか?」
「聞いてなかったのか?アイツは良い主将だ。まだ三年生が抜けたばかりで、立て直しの最中だと言うのに、アイツは上手くみんなを引っ張っている。」
「へぇ。」
「去年のチームも、ここ数年で一番の選手が揃った良いチームだった。だが、・・・今年はその上を行くぞ。」
「上ですか?」
「ああ。まあ、詳しくは言えんがな。」

 そう言った武内先生が何やら企んだような笑みを零していた事は、見なかった事にしよう。

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