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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter


 先程、彼等にはこの学校のOBである事は告げたものの、ここまで武内先生と中睦まじく会話をしている私に疑問を覚えたのだろう。由孝君は首を傾げながら、私達の関係について尋ねようとしているらしい。ただ、彼の口から言葉が出て来なかったのは、どう尋ねて良いのか分からなかったのだと、私は思う。

「武内先生には、三年間担任を受け持ってもらったの。」
「え、三年間?ずっとですか?」
「そうそう。」

 三年間、と言う言葉に三人が驚いた事は当然の事だった。正直、少しばかりクラス数が多いこの学校で、毎年のように行われるクラス替え。その上、先生方は毎年クラスを担当したり、しなかったり、1年を受け持ったかと思えば3年の担任になったりと、どういう仕組みかは分からないけれど、それはもうランダムに決まっている。

 そんな中で、三年間も同じ担任だった事はキセキとも言える出来事なのだ。ちなみに、私が知るこの学校の卒業生の中でも、三年間担任が同じだったなんて人はいないし、彼等の反応を見る限り、彼等もそう言った体験をしている人物と出会った事がなかったのだろう。

「先生が私の事を好きで、校長に頼みこんだんだ~なんて噂も立ったくらいだしね。で、実際のところどうだったんですか?先生。」
「一教師がクラス替えやらに口出し出来る訳がないだろう。それに、俺はお前の担任なんてさっさと外れたかった。」
「ひどっ・・・!」

 私が、心に深い傷を負っている(嘘)間に、体育館の中にはわらわらと大勢のバスケ部員達が戻って来ているようだった。そろそろ練習再開か、と私が体育館を立ち去ろうと武内先生に告げれば、先生は「まあ、見ていけ」なんてぶっきら棒に答えて、体育館の中に置かれたベンチを指差した。

「いいんですか?」
「ま、女子が見ているとなれば部員たちのモチベーションも上がるだろう。」
「・・・そういうもんなんですか?」
「男ってのはそういうもんだ。」

 へぇ、と呆れたように告げる私に、武内先生は手にしていたクリップボードを押し付けてから、ベンチに置いておけ、とまるでマネージャーのような扱いをされてしまう。まあ、悪い気分はしないのだけれど、・・・体育館に集まった部員達からは様々な見解を含んだ視線を注がれている事に、少々戸惑ってしまった。

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