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【黒子のバスケ】年上彼女 file1

第2章 first quarter


「え、OBの方なんですか?」

 驚いたように私を見つめ、そう告げたのは小堀君と言う。先程から、私が優しげな彼と比喩していた人物である。

「もう、卒業して4年になりますよ。」
「通りでお綺麗なわけだ。在学中はさぞかし愛くるしくも美しい蝶のようだったのでしょう!やはり、年上の女性は品があってとても魅力的ですね。」

 そう私の外見を大袈裟過ぎる程に盛って告げたのは、イケメン君と称していた森山君。「是非、俺の事は『由孝』とお呼び下さい」なんて紳士風に頭を下げられたものだから。断り切れなかった私は、彼の事を名前呼びするハメになってしまっている。

「由孝君は大袈裟過ぎですよ。」

 呆れたように返事を返す私に、由孝君は詰め寄るようにして「そんな事はありません!」なんて言ってくれる。まあ、容姿を良く言って貰える事は嬉しい事だから。私は、礼を告げて小さく頭を下げた。


 私達は、相変わらず体育館の入り口で居るのだけれど、すっかり空気は歓談モード。床に腰かけ、私は二人からの質問に答えていた。

 そんな中、小堀君に隠れるようにして座っているおチビ君、否、いつまでもおチビ君と呼ぶのは可哀相だろう。彼の名は笠松君と言うらしい。今まで散々チビだと称して来たけれど、彼は私よりも遥かに大きい。それでも、小堀君と並ぶとやはりチビである。

「と、言うか山下先輩。」
「なんですか?」

 横を向き、此方を全く見てくれない笠松君に、何か話しかけようかと思案している途中。再び小堀君に声をかけられ、視線を彼の優しげな笑みへと映す。

「敬語。使わなくても良いですよ。先輩なんですから。」
「そう、ですか?」
「そうですね。気を使って頂けているのはありがたいですが、俺は佳奈さんをもっと身近に感じたいです!」

 いつの間にか、由孝君が私を名前呼びしている事はさておき、わざわざ敬語を止めてくれ、と口にするくらいだ。後輩の身からすれば、少々違和感があるのかもしれない。そう思った私は、三人への口調を普段の、所謂、タメ口で接する事にした。

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