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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第5章 窮鼠猫を嚙む



「クスクス……『いつだって』って…
何か意味深…。

翔以外にも恋人がいたみたいなー感じですか?」

と、伊野尾は智の言葉の端を突く。

「あのさー、どう考えても、
この歳で、この顔で…

教え子が初めての相手なわけがないだろ。
過去に四人真面目に付き合った男ぐらいいるよ。
まぁ…とうに切れているけどね。」

「ウソ…?」
「ウソだったら、かえっておかしいだろ…
それこそ不健全だよ。」

「なんか、不誠実な感じ…」
「へぇ~、どこが?」

「だって、マジで付き合った人と
そんな簡単に別れられるなら、
また心変わりするってことも
あるんじゃないんですか?」

「だれが簡単に別れたっていったよ…。
相手の男はみんなノンケだった。

結婚だの就職だのを理由に、
向こうから別れを切り出されたんだ。

俺も、ノンケ相手にそこまで言われて、
すがりつくほど、おちぶれちゃいないから…
キッパリ別れてやっただけだよ。

今までだって、
遊びで付き合ったことなんかないし、
これからだってない!!

それに、自分から別れを
言いだしたこともないね。」

「でも……
今は、全部忘れちゃったんでしょう。
本気で付き合った相手だったのに…。」

ああ……そういう事?
つまり、過去の相手を忘れた人間は、
いずれ今付き合ってる相手のことも
忘れるんじゃないかって理屈で、
伊野尾は切り込んできているわけなんだ。

でも、智も恋愛な関しては、
こんなガキに言いくるめられるほど
ヤワじゃない。

開き直ったゲイを、嘗めるんじゃないよ

「あのさぁ〜
お前ホモって人間じゃないと思ってる?」

和也の超お得意なアイドルスマイルで、
凍えるようなブリザードのオーラを
発しながら智は問う。

「ゲイだろうが、レズだろうが、
ノンケだろうが…
心はちゃんとここにあるんだよ!!!」

瞬間…伊野尾がギクリと怯む。



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