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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第5章 窮鼠猫を嚙む



智は怯んでる相手に堂々と

「忘れられないから苦しむんだよ!

泣いて、泣いて、どん底にいる時に
ふっと優しくしてくれたり、
一瞬でも辛さを忘れさせてくれたりする相手が
現れたりすると、そこから新しい恋が
芽生えるんじゃないか…。

それは、男でも女でも同じだと思うよ。

何度だって恋愛して、
その中から一生の相手…
真実の愛を語れる相手ってヤツを見つけるんだと
俺は思う。」

といつもは猫背なくせに、
胸を張って、真剣な顔つきで言ってのけた。

こんな街中で…
通行人が振り返る中で…

伊野尾は恥ずかしさからか
オロオロと周りを気にし出した。

でも、今さらその程度のことで
物怖じをする智じゃない。

自分が正しいことを言っているのだ。
何を恥じることがある。
それに、わざわざ翔のいない時を狙いすまして
よけいな詮索をして、お節介な忠告を
してくる相手に、容赦してやるほど
心は広くはない。

「伊野尾君。それとも、ホモは恋人を失ったら、
一生そいつのことを想ってメソメソ
暮してろって言うの?

テレビやネットで平気で元カレからもらった
ブランドのバックの値段は……
とか、言ってる世の中なのに、
お前は同性愛者には潔癖をもとめるの?
一人の相手だけを脇目も振らず想って、
捨てられても、踏みつけられても、
それでもすがって日陰の身で生きていけって
いうのか?」

何一つ恥じることはないんだ。
自分をいや、同性愛者すべてを貶める者は
決して許さないと、揺るぎない意志を持って、
智は言い放つ!

「偏見もいいかげんにしろよっ!!!!!!」

その冴え渡った美貌ーーー
そこにいた誰もが目を奪われ、息を呑む。

隣で惚けたように立っている武井は
もちろんのこと。

智を非難していた伊野尾でさえも……。
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