• テキストサイズ

もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第4章 邪魔者



夜、9時を過ぎる頃、
ようやく部屋に帰ってきた智は、
ぐったりとベットに倒れ込んだ。

「疲れた……。」
どちらかといえば…インドア派だと思う。

夜遊びと夜釣りには行くけど
太陽の光を浴びながらボートに揺られて、
釣りをするわけでもなく、
ずっとくだらない話を
聞かされ続けるなんて、
正直苦痛以外何ものでもない。

あー精神的に疲れたと身体全体から
悲鳴を上げてるような気分だった。

それでも、疲労のおかげで
ベットに横になるだけで勝手に瞼が閉じていく。

「あ…なんかこのまま眠れそう…。
すこしは役に立つんだね………

あのバカ犬……も……」

ボソッと呟いた時だった…。

部屋の中に鳴り響くた携帯の呼び出し音。
どうせ武井からだろう……

と、動くのもおっくうで、テーブルの上に
放っておくと長いコールの後…ようやく切れた。

やれやれ…しつこいヤツだ…
と、思うと今度はLINEのトーク着信音が
鳴った。

智は、武井とはLINEの交換をしていない事に
気づき、ガバッと起きあがった。

トーク画面には
『おやすみ、智。』
と可愛い双子のリスのスタンプが押されていた。

「何だよ……、それだけかよ……。」


『おやすみ、智。』
たったそれだけでの言葉を
何度も、何度も眺めては、
その文字を指先で軽く触れていた。

『おやすみ……』

その一言に、翔の想いが溢れている。
いったん頭に血が上ったら、
智は誰の言葉も耳を貸さない傾向があった。

言えば言うほど依怙地になってしまう。
泣いて、泣いて、涙が枯れるほど泣いて……
疲れ果ててそのまま眠ってしまう。

でも、仲直りもしないままでは、
目覚めた時、鏡で見る自分の顔の酷さに
どっぷり後悔するに決まっているから……

だから、智の苛立ちが冷めた頃を見計らって
何気ない一言を贈ってくれたに違いない。
ケンカなんかなかったかのように
いつもの口調で……


/ 238ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp