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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第4章 邪魔者



携帯がポワッと歪んで見えた。
「バカ……………。」

再び泣きべそをかいてる自分に気づいた。
こんな一文でも、涙が出るほど嬉しい。
心がホワッと温かくなってくる。

ホントに優しい男なのだ櫻井翔は……。
問題は、それが誰にでも優しさが
発動してしまうことなのだ…………。








それから30分ほどして…………

智の部屋の灯かりが消えた。





マンションの前の電柱に寄りかかり、
それを見ていた男が、ホッと安堵の息をつく
翔だった。

結局、一日中探偵もどきに、智と武井を
尾行していたのだ。

だからこそ、智が部屋に帰ったとたん
タイミングよく電話を掛けられ、LINEもできたわけだ。

本当は自分の声で届けたかったけど
LINEに既読の文字が付いたって事は
たぶん自分の想いは届いたはずだ。

たったそれだけのことでも、
少しは気をよくしてくれたはずだから……

めいっぱい手のかかる頑固者の恋人には
たとえケンカの原因が何であろうと
アフターケアは欠かせない。

それをしなければ、年上の智から
謝ってくることなんて絶対にない。

気まずいまま放っておいたら、
どんどん悪い方に…
悪い方に考えていって
しまう人だとわかっているからこそ
大切に扱わなければならない。

七つも年上なのに、智はすごく子供っぽい
ところがある。

もっともそこが可愛いくて
翔は智を手放すことができないのだ。


「それにしても、危ないよなぁ……あの人……」

馴れ馴れしく智に擦り寄ってくる
武井を見るたびに飛び出していって
殴りつけてやりたくなった。

でも、今の自分は、
たとえテスト期間とはいえども
チームの名を背負っている。

男の恋人を巡って暴力事件など、問題外だ。

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