第1章 新たな始まり
「だいたい、卒業式に、
生徒や教師の目の前で
あんなド派手なパフォーマンスを
やらかすってこと自体、
お子様な証拠なんだよ。
俺はずっっっとここで
教師をやっていくんだぞ!!
俺の立場を考えたら
普通はあんなことできないだろ?」
「う~?いいんじゃない?
どうせ五十嵐の連中は
そっちの方は寛大だから…」
「う…………。」
県下一の頭脳集団と
言われる五十嵐学園には
男しかいない上
優れた逸材が
揃っているがゆえに
男同士の恋愛が
お盛んとの伝統もあった。
憧れの美術教師がついに
翔の手に落ちてしまったことで
やっぱりそうだったのかと
失恋に泣く者はいても、
ふしだらと責めるものなど
生徒の中にはいない。
「先生、だから安心して
よがってていいよ」
と耳たぶに熱い唇を押しつけてくる。
(あっ…もーっ
翔……結局そこにいきつくのかぁ~)
そりゃぁ…青春真っ盛りの18歳
それまで我慢した分
止まることができないってのも
わからなくはない。
昼も夜もサッカーと
勉強の日々だった…
それが、今卒業と同時に
プッツリと途切れてしまった…
だから、ありあまった体力と情熱を
手に入れたばかりの恋人に向けるのは、
相手が同性だってことを抜きにすれば、
心身ともに健康な青少年しとて
当然かもしれない。
(でも、いきなりこれじゃ…俺の体力が…)
そりゃあ心を打ち明けあったんだから…
これからデートしたり…
できたら春休みには
一泊くらいでいいから
旅行したいなーなんて…
まさか…
いきなり恋人になった翌日から
準備室に押しかけてきて
交わり攻撃とは思わなかった。
もちろん…
そりゃ…………
イヤなわけじゃないけど…………