第4章 邪魔者
「わたったよ。
じゃあ、もうデートなんてやめよう…」
と、智は吐き捨てた。
「翔には悪いけど、俺は俺で好きにする。」
「えっ?」
「実は、同僚に食事を誘われているんだ。
今までは、そんな時間があるのなら
お前のために使おうと思ってたけど、
夏休みの間中、ずっとほっとかれるくらいなら、
武井からの誘いをむげに断る理由も
ないわけだ…。」
「はぁ?武井って誰だよ…。」
「新米の体育教師だよ。
生徒に慕われていて俺を尊敬しているんだって!!」
「何それ…?」
「武井は前から美味しい刺身を食べに
行かないかって誘われているんだよ。
まぁ、せいぜい翔と逢えない時間を武井と
暇つぶしに一緒に楽しませてもらうよ。」
「…刺身って…日本料理店か?
それって酒も入るの?」
「もちろん!うまい魚には日本酒だろう!!」
「ダメ!!!」
とたんに強い命令口調で返ってきた声は
智を激怒させた。
「何だよ!!」
「智は酒癖が悪いから…」
「何ぃ~?
お前は好き勝手にご学友やらサッカー仲間と
親睦を深めてるのに、俺は同僚と付き合うの
さえダメだってゆーのかよ!!!」
「………だって、智。
酒が入ると前後不覚になるじゃん……」
「それがなんだよ!
ああ~…そういう事か、酔っぱらっちまうと
寂しくて平気で知らない男でも誘うもんなぁ~
そうそう、お前とのきっかけも
そうでしたっけ?」
「……………。」
「だったら朝から晩まで見張ってろ!
どうせできないんだろ?
だったら文句なんて言うなよ!!!!!!!」
「智…声がデカいって…」
その一言で、さらにブチッと
智の中にわずかに残っていた最後の理性までも
切れた。
「…あっそうかよ!!わかったよ!!
もういいよ……………。」
「…………さとし?」